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北海道下川町、貨客混載事業の担い手を募集

2021年10月21日 (木)

国内北海道下川町は21日、ハイヤーによる貨客混載を事業化するメンバーを募集すると発表した。

下川町は人口3200人で高齢化率が4割を超えている。産業の担い手不足や、事業者の高齢化などの課題を抱える。60年以上前から持続可能なまちづくりに力を入れ、環境モデル都市・環境未来都市・SDGs未来都市にも選定されている。

▲高齢者宅に商品を届ける様子(出所:下川町産業活性化支援機構)

こうした取り組みの一環として、下川町はハイヤーを活用して人と荷物を同時に運ぶ貨客混載サービスを国内で初めて実証。高齢者など交通弱者の買物困難や宅配事業所の人材不足、ハイヤードライバー不足などの地域課題を解消する活動を展開している。

ことし7月から1人が貨客混載事業を担当。さらなる地域住民のニーズに応えるため、今後は買物ができる町内事業所や宅配を引き受ける荷物の数を増やすなど、事業の拡大を図っていく方針であることから、担い手を1人増員することとした。

顧客混載事業は、町内の商店等から商品を高齢者の自宅へ配送する買い物の支援をはじめ、大手宅配事業者と連携した荷物の宅配や地域交通を継続・維持するためのハイヤー会社のドライバー業務など。応募は、所定の募集サイトで受け付ける。

人間が介在する地域インフラ支援、先進システムにない強みを発揮して

人口3200人の小さな町の住民サービスを、町外の人材が担う。そんな姿が現実になろうとしている。北海道下川町が、貨客混載事業の担当者を広く募集することになった。地方の町の住民サービスといえば、ロボットを活用した無人搬送の取り組みが各地で進んでいるが、こうした「人間」の担う地域輸送対策の行方に注目したい。

下川町が募集する貨客混載事業の特徴は、担当者がただのドライバーではないところだ。ハイヤーの運転以外にも、買い物の支援や荷物の宅配など、多岐にわたる。むしろ、貨客混載議場というよりも住民生活支援事業と言った方がぴったりくる。

若い世代が少ない地方の自治体では、若手が担うべきこうした業務の担い手不足が深刻な課題になっている。しかし、ここでDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した先進技術への過度な依存は禁物だと思う。システムを導入すれば効率的な業務が実現する可能性もあるが、そこに人間が介在しなければ、最終的には定着しないのではないか。

高齢者が自動運転の車両で買い物を支援してもらっても、本当の意味で「支援」になるのだろうか。あくまで、デジタルとアナログの共存こそが、地域インフラ支援の最適解ではないだろうか。下川町の取り組みは、それを象徴してるように思える。先進システムにない「人間力」で支援事業を成功させてほしい。(編集部・清水直樹)