サービス・商品フォークリフトが関係する事故は、物流現場における労働災害の主な要因の一つとして知られており、厚生労働省や物流業界団体も注意を喚起しているが、なかなか減らないのが実情だ。一方で、消費スタイルの多様化や新型コロナウイルス禍に伴う宅配ニーズの高まりなどを受けて、物流現場における取扱量が増加傾向にあるなかで、フォークリフトによる事故をなくし安全で効率的な物流業務の実現を目指した取り組みも進んでいる。マトリックスによるヒヤリハンターの市場展開も、こうした事情が背景にある。
これまでも超音波やICタグ・カメラを使った安全管理の製品は存在したものの、誤反応や必要な時に警報が鳴らない事例が目立つなど、稼働上の精度に課題があった。マトリックスは2012年の開発から現場評価・試作を経て、3年後の2015年にヒヤリハンターを発売した。
フォークリフトに機器本体を設置し、周囲360度に検知エリアを作り出す。このエリアは自由に大きさを調整することができ、現場の環境に合わせて運用できるのが特徴だ。作業者はICタグを携帯し、検知エリアに進入するとフォークリフトへ警報で通知してオペレータに注意喚起を促す。
このシステムを2019年に導入したのが、山九の泉北支店(堺市西区)だ。フォークリフトが10台ほど稼働しており、トラックからの荷下ろしの補助で取引先のドライバーとフォークリフトが接近することが多いことから、フォークリフトと人との接触防止を図る観点から、安全対策として導入。実際にヒヤリハットの件数が減り、導入前と比べてフォークリフト運転者の安全意識が高まったという。