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温度管理など「カスタマイズ配送」バイク便、発進

2022年3月10日 (木)

(出所:ロジクエスト)

ロジスティクスバイク便事業などを展開するロジクエスト(東京都千代田区)は10日、取り扱いが難しい医薬品などの「カスタマイズ配送」への対応を可能にするシステムのアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を開発し、サービス利用の受け付けを始めたと発表した。

新型コロナウイルス禍で需要が高まる医薬品や食品は温度管理が必要なうえ、日用品などと比べて取り扱い・受け渡し方法に制約が多い。新サービスは、こうした荷主企業の要望に応えるとともに、商材を問わずに最適な配送方法に対応し、高いデリバリー品質を担保できる点が特長だ。

新サービスでは、事業会社の受注システムと緊急配送システムをAPI連携でつなぐことで、注文を受けた後の配送依頼から納品までにかかる時間を事業会社側に照会する。消費者や出庫担当者への連絡など、従来は人的対応が必要だった作業が自動化でき、生産性や顧客満足度の向上に期待できる。配送需要の変動による人材や時間の確保、業務習熟の課題解消にもつながる。

今後、首都圏などで一定の緊急配送需要が見込まれるECや保守サービス、医療医薬品業界に照準を定めて訴求する。

宅配・デリバリー市場、「量」から「質」への急速な変化をつかめるかが持続的成長のカギだ

コロナ禍をきっかけに一気に定着した新ビジネスの代表格とも言える、宅配・デリバリービジネス。一部の商材に限られていた配送対象が急速に拡大し、これまでは想定できなかった医薬品や精密機器などのデリバリーサービスも珍しくなくなってきた。

(イメージ)

ロジクエストは、こうして急拡大する宅配・デリバリーサービスに潜む課題に着目し、新たなビジネスにつなげようとしている。宅配・デリバリーサービスの普及に伴い生じている、「ニーズの高度化」と「配送技術向上」のミスマッチをなくすことで、荷主と顧客の満足度をともに高める。バイク便の機動力との相乗効果を図れる取り組みとして生まれたのが、このカスタマイズ配送サービスだった。

宅配・デリバリーサービスは、提供者と購入者が顔を合わさず商材をやり取りするが故に、より高い次元での輸送品質が求められる。その対象物がデリケートなものであるならば、なおさらだ。

コロナ禍による「巣ごもり需要」で一気に開花した宅配・デリバリー市場の要請は、急速に「量」から「質」へと遷移している。その流れをつかんだプレーヤーは支持を得る一方で、乗り遅れれば市場から追い出されることになる。優勝劣敗が明確で、さらに凄まじいスピードで変化するのも、この市場の特徴だ。(編集部・安本渉、清水直樹)