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東京・大田市場で青果やフォークの動きをAI分析

2022年8月16日 (火)

▲東京青果の物流施設内(出所:ヘッドウォータース)

産業・一般AI(人工知能)関連事業を手がけるヘッドウォータースは12日、東京中央卸売市場の大田市場の物流改善を支援したと発表した。商品探索やフォークリフトの動きがスムーズになったという。

発表によると、同社は大田市場を運営する東京青果(東京都大田区)から委託を受け、場内物流のAI分析と改善策の検討・検証を行った。同市場では、青果の取扱量が年々増加する一方、場内が狭いため、商品の滞留やフォークリフト、ターレの渋滞混雑が課題となっていた。これまで東京青果の社員や仲卸業者が経験に基づいて行ってきたが、属人的で部分最適な行動も見られるようになり、抜本的な改善策が求められていた。商品配置を最適化でき、フォークリフトとターレの動線確保ができれば、仲卸業者が商品を探し、ピッキングをする荷引き時間が短縮される。「より多くの荷物をより鮮度よく、より低コストで供給できる」ため、AI活用に至った。

問題解決に向けて、ヘッドウォータスは場内にウェブカメラを設置し、商品配置やフォークリフトなどの動きを撮影、その画像に基づいて商品動態をデータ化、AIに分析させた。現地視察や関係者との協議も重ね、より実効性のある改善策を見出し、実施し、効果を検証した。その結果、改善策は「利用効率向上につながる」との結論を得た。

今回のAIによる検討・検証作業は、場内の一定のスペースを対象としたものだった。今後は可視化・分析の対象を拡大し、場内全体の最適化に向けた取り組みが進む予定という。同社は「こうした取り組みは、全国で卸売市場のようなふかん的なデータ分析が必要な場所に広がり、物流の状況を変えていく可能性がある」と自己評価している。

大田市場での物流改善は、農林水産省の2021年度食品等流通持続化モデル総合対策事業にも採択されている。