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40代倉庫管理者がたった2ヶ月で安定的な人材確保とコスト削減を実現

「欲しいときだけ、できる人材」を確保する秘訣

2022年11月4日 (金)

話題中小の運送会社40社で組織するラストワンマイル協同組合(東京都府中市)が、寡占状態の宅配業界で急成長を遂げている。満足いく品質のサービスを低価格で提供する、宅配版の「LCC」(ローコストキャリア)を謳い、大手宅配会社が二の足を踏む案件を次々に獲得しているのだ。創業5期目と比較的新しい組織にもかかわらず、adidas(アディダス)やIKEA(イケア)などの大口顧客を抱え、そのほか大手企業からも依頼が絶えない。

しかし、急成長の裏には苦労あり。インターネット販売を手掛ける複数荷主から翌日・翌々日の配送を請けるには、夜間にまとめて方面別仕分け作業を行う拠点が必要だ。手探り状態の拠点立ち上げ、大口顧客による荷量の急増、庫内作業の人手不足、人件費の急増――。ラストワンマイル協同組合の物流現場には寝る間を惜しんで奔走する男性の姿があった。創業メンバーでもある室長の池田睦氏だ。

池田氏は荷量の増減が大きく日によって必要な人員が増減する夜間作業という悪条件の中、「低コストの安定稼働」に向けて動き出してからたったの2ヶ月でこれを実現したという。「短期雇用者による自主的な運営」をキーワードに挙げる池田室長にその秘訣を聞いた。

日に6個の荷物から3000個まで事業が成長

▲ラストワンマイル協同組合の池田睦室長

(池田室長)最初は1日6個の配達から始まりました。20個、30個と増えていきますが、最初の1年半は倉庫に荷物を取りに来る組合員のドライバーさんと我々社員で仕分けが済んでしまうほどで、組合員も赤字状態。

「これでは経営が立ち行かない…」と、3辺の合計が140サイズや160サイズの大手宅配業者ではコストが高い傾向にあるところに目をつけたわけです。大手宅配業者と戦わず、荷主さんの困っているところに手を差し伸べる形を取りました。

その結果、3社、4社と荷主さんが増えていき、まずは一般求人媒体でアルバイトを30人雇用しました。当時の取扱数が1日1000個ほど。毎日15人にシフトインしてもらうイメージでの採用です。

▲池田氏が運営する「立川ハブセンター」

「経費をじゃぶじゃぶ使うな」と組合員から叱りの声

しかし、実際に稼働してみるとすぐに辞めてしまう方もいたり、「あれ、きょうは15人必要なのに、5人しかいない」という日があったりと、問題に直面しました。そんな中で大手荷主さんとの契約に成功し、荷物も1日1000個から3000個近くまで膨らんでいきます。「これはもう回らない」となり、次に考えたのが単発(日雇い)のアルバイトを入れていく方法です。

単発でも20人募集すれば、20人応募があったので人材の確保はうまくできました。ただ、そのときにかかったコストが求人手数料を含めて1ヶ月で420万円。この金額は単発アルバイトを入れる前と比較して約4倍に当たります。経費としてかなり目立ってしまい、組合員からも「どうなってるんだ、経費をじゃぶじゃぶ使うな」とお叱りを受けました。

▲アルバイトの方々が倉庫運営を支える

パソコン苦手でも使いやすい単発バイトマッチング「マッチボックス」

「これはどうにかしないと」と考えていた中で紹介を受けたのが、単発バイトマッチングサービスの「マッチボックス」です。経費を下げられる試算だったので、まず使ってみようと動き出しました。

使ってみると、とにかく操作がわかりやすい。詳しい説明を受ける前に募集・採用・運営を始めてしまいました。「こんなことできたらいいのにな」と考えながら触ってみているうちに「ここをクリックすればいいのか」とわかったりして。

見ていただければわかるのですが、画面がシンプルで使いやすい。承認作業だったら承認作業だけ。応募がくるとパソコンにパッと表示されるので、これを承認していくだけです。現場を離れていても、スマートフォンから全部の作業ができます。募集に対して応募が足りていないときに赤色の表示が出るのも見やすいですね。

アルバイトの方の顔写真と勤務状況を見ることができるので、たとえば欠勤が続いていたり、採用してもこなかったり、という履歴がある人はお断りすることもあります。働いてもらったトータルの時間を把握し、「雇用保険や社会保険に加入しなくてはいけません」というアラートが出る機能などは、労務管理にも役立っています。

▲スマートフォンの採用画面(左)と保険加入に関するアラート(クリックで拡大)

倉庫の現場で働く人は、パソコンが得意な方ばかりではありません。事務作業をお願いしている派遣の方がいるのですが、入力はできてもエクセルやパワーポイントを使いこなせるかといえばそうではありません。いずれは私の業務も引き継ぎをしたいと考えていますが、その点マッチボックスはパソコン作業が苦手な人にも教えやすいと思います。

▲パソコンで操作する採用画面

リピーターによる安定稼働と月100万円のコスト削減を両立

単発バイトの採用・管理の使いやすさと手数料の低さから、使い始めて2ヶ月で安定稼働と月に100万円以上のコストカットが実現しました。しかも、働きに来てくれる方は単発ですが8割以上はリピーターです。安心して仕事を任せられるわけです。

▲マッチボックスが用意したチラシ

どのようにリピーターを増やしていったかといいますと、新規で来た単発アルバイトの方にQRコード付きチラシを配ってマッチボックスの機能である「人材バンク」に登録してもらいました。また来てもらいたい人材を登録できる機能です。ピッと携帯で読み込んで登録できる手軽さもあって、用意してもらったチラシがすごく助かったな、と思っています。現在では人材バンクに67人の方が登録してくれています。

1から全部業務の説明を毎日していた手間もだいぶ減りました。今来てくれているリピーターの方は、初めてくる方に自主的に仕事の説明をしてくれます。

仕分け作業にも種類があったり、別途入力作業があったりする中で、数種類の仕事をこなせる方も増えてきました。初期採用のメンバーがバイトリーダーになり、バイトリーダーと単発バイトのリピーターでほとんどの作業がまわります。バイトリーダーが現場を仕切って、私がいなくても自動的に仕事が始まり、仕事が終わる形ができました。良い方々に来ていただいてすごく助かっています。

安定稼働の秘訣はリピートしやすい職場作り

ただシステム面に頼るだけでなく、コミュニケーションをすごく大事にしています。バイトリーダーたちには仕事の指導係だけでなく、積極的に単発バイトの方にフレンドリーに接してもらって、職場環境作りもお願いしているんですね。休憩所や喫煙所で「どんどん話してね」と伝えています。初めてバイトに来たのはいいけれど1人ぼっちになってしまい、2回目は行きたくなくなる。そういう気持ち、私もわかるので。

たまにすごい戦力なのに暴言を吐いてしまうような方もいるのですが、すぐに拒否して切ってしまうようなことはしません。できるのか、できないのか、丁寧に話してみます。

バイトに来やすい環境をまずは作る。そうしているうちに人が定着していきました。

リピーターを確保してなお、マッチボックスを使い続ける理由

リピーター集団ができたとはいえ、現状は直接雇用に切り替えることはせず、マッチボックスを使い続けようと思います。荷主さんが増えて人材が必要な時間や人数が変わるとか、あるいは現場にベルトコンベアを導入して必要な人数が減るとか、環境がどんどん変わっているからです。

今ちょうど、組合員さんに総会でいただいた「経費削減の要望」に対して、成果を数値化していく最中です。マッチボックスの導入による経費削減も含めていろんな施策をしてきました。何をして、どれくらい経費が下がったか。たとえば、仕分けの人数を何人まで減らせるか試行錯誤しているところでもあります。

それに応じた人員や人材を柔軟に増減可能な形で集められるので、単発バイトマッチングのサービスが今は適していると感じています。

さらに求人に時間をかけない効率的な運用を目指す

▲ラストワンマイル協組の池田氏(左)とマッチボックスの功刀聖健氏(右)

マッチボックスはサポート体制も充実していて、リモート会議で「もっとこういう風にできたらいいのに」といった要望も常にお聞きいただいています。たとえば時短のために一括承認したいとか、細かな点ですね。

ゆくゆく単発アルバイトの皆さんが仕事をもっと熟知してくださるようになったら、来てほしい人を選んで募集できる「オファー」機能も使って、人集めに時間をかけないようにできたらな、と。現状、人材確保が完了するのが稼働の2日前くらいなのですが、4日前には確実になるよう、運用を変えていきたいです。

編集後記

ラストワンマイル協同組合の池田室長の取材を通じて、とにかく取り入れてみて、効果を検証し、改善することが成長への一歩だとひしひしと感じさせられた。成長過程の組織を動かす中で、マッチボックスの「誰にでも使える視認性」や「目に見える経費削減効果」がマッチしたのだろう。

仕事に「新しさ」を取り入れることが億劫になっている人にこそ、まず試してみて「なんだこんなに簡単なのか」と実感してほしい。物流企業との取引が多く、物流のニーズがわかるマッチボックスならではのサービスで池田室長のように大きな収穫が得られるかもしれない。(文/田中なお)

マッチボックスの公式サービスサイト