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運送会社DXに盲点、点呼業務を支援する機器・システム業界の課題や方向性探る

対面感覚を遠隔で補えるか-討論イベント詳報(9)

2022年9月30日 (金)

話題LOGISTICS TODAYは、オンラインイベント「運送会社DXに盲点、“点呼業務”の主要メーカー・販社と徹底討論」を9月7日に開催。点呼業務を支援する機器・システム業界の課題や今後の方向性について論戦を展開しました。イベントにおける登壇者の具体的なやりとりを詳報する連載企画。第9回は、視聴者からの鋭い質問に登壇者が応じます。

対面ならではの「肌感覚」、遠隔点呼でもシステムの力で補っていく必要も

<LOGISTICS TODAY赤澤裕介編集長>
興味深い話が続きました。ここからは、視聴者の皆様からお寄せいただいている質問にお答えしていきたいと思います。たくさんいただいています。まずご指名です。テレニシ様と東海電子様に対する質問です。

「対面点呼はドライバーと面と向かってコミュニケーションが取れる。体調のわずかな違いも、表情などから読み取れるといったことがあると思います。それに対して遠隔点呼はモニター越しだと思いますが、このような懸念はどのようにお考えでしょうか」。要するに、遠隔点呼だとわずかな表情の違いから体調の変化を読み取るのが難しいんじゃないか、そのあたりは懸念としてあり得るのかどうか、という質問だと思います。吉田様からお願いします。

<テレニシ法人事業本部ソリューション営業二部の吉田寛之部長>
そうですね。対面の方が、面と向かってできる点ではよいと思います。

<赤澤>
それは間違いないと。

<吉田氏>
実際に私もモニター越しでやったときと、面と向かっては違うところがあると思うのですが、遠隔点呼の遵守事項の中で、遠隔点呼をするドライバーと運行管理者で面談をして、この人がどういう人なのかを確認する要件があります。

そういうわけで、初対面で遠隔点呼をすることはないのが前提です。少し不安はあるかもしれませんが、今後デジタル化を進めていくうえでは、システムの力も借りながら、対面では逆にできないようなところを補っていけるんじゃないかなと思います。

<赤澤>
なるほど。要するに今の質問をされた方に対して伝えていただいたのは、たしかに懸念はその通りであると。懸念は懸念としてあるのだけれども、そこを認識していただいたうえで軽減していくためには、いろんな方法があるのではないかと。そういうことですね。

<吉田氏>
そうです。

<赤澤>
ありがとうございます。松本様はいかがでしょう。

<東海電子取締役安全・健康システム営業部の松本剛洋部長>
おっしゃる通りだと思います。補足しますと、たしかに100%対面と同じにはならないのですが、それにいかに近づけるかというところで、今回要件としては「カメラの画数を200万画素以上にしなさい」「モニターのサイズは16インチ以上じゃないとダメですよ」というように、相手の顔色が極力分かるルール付けもなされております。

<赤澤>
200万画素以上と決まりがあるのですね。

<松本氏>
そうですね。

<タイガー取締役営業本部長・成澤正照氏>
ネットワークの速度が心配になるかもしれませんね。

<赤澤>
そうですよね。特に外からだと難しいですね。ちゃんと通信環境が必要だったりするかと思います。

<松本氏>
ただ現時点では、外からの遠隔点呼は認められていませんので。

<赤澤>
そうですよね。なるほど、なるほど。現状を踏まえれば現実的な面もあるので、しっかりと今のルールがどうなっているかを見極めることで簡単に諦めない方がいい面もありそうですね。はい。ありがとうございます。

遠隔点呼は「100%出資子会社」にも適用できるのが利点、ただし詳細な規定も

<赤澤>
続きまして「遠隔点呼が100%出資子会社でないとできない理由はあるのか」。こちらは、先に私もうかがいましたよね。「IT点呼が100%出資子会社に対して、適用できるようにはならないのか」これはIT点呼に対しての疑問です。成澤様、これ誰に聞いたらいいでしょう。

(イメージ)

<成澤氏>
国に聞くしかないですね。

<赤澤>
松本様もまだ答えにくいですか。

<松本氏>
おっしゃる通りだと思います。現時点では段階の問題で、それ以前にも点呼自体が「グループ会社でも可能ですよ」というステップが数年前にあったように、遠隔点呼自体もこれからまだ進歩していくのではないかと思っています。

<赤澤>
要するにまだ流動的な面があるということですね。ただ今はっきりしているのは、100%子会社と「規定されている」ということですね。

<松本氏>
ひとつ補足しますと、同一業種に限られます。

<赤澤>
なるほど。同じグループ会社であったとしても。

<松本氏>
ホールディングスでトラックとバス、タクシーを扱うケースの場合、「トラック会社がバス会社を」ということは現在、認められておりません。

<赤澤>
なるほど。でも貨物自動車運送事業のくくりであれば、いいのですよね。

<松本氏>
貨物自動車運送事業であれば、大丈夫です。

「遠隔点呼は敷居が高い」の是非

<赤澤>
ありがとうございます。あと、全員に対してうかがいたいとのことです。「IT点呼と遠隔点呼では、遠隔点呼の方がシステムや環境・運用面において圧倒的に厳しい条件だいうが、なぜ遠隔点呼の方が敷居が高いのでしょうか」。この考え方、私は分かります。

要するにGマーク(Gマーク制度=貨物自動車運送事業安全性評価事業)を取得していなければIT点呼はできないわけですから、選ばれし者ができるのがIT点呼だとしたら、当然レベルの高いものでなければならないのでは、とそういう疑問だと思います。いかがでしょうか、松本様。

<松本氏>
そうですね。基本的にIT点呼は、Gマークを持っている安全な業者のインセンティブとして「ここまで安全な会社だったら対面でなくても安全が担保できますよね」という考え方です。

<赤澤>
なるほど。

<松本氏>
逆に遠隔点呼に関しては「対面点呼が終わる」との考え方から、誰にでもできるけれど対面点呼と同等の安全性が担保できるルールを作った、とお考えいただければと思います。

<赤澤>
なるほど、納得できました。吉田様はいかがですか。

<吉田氏>
そうですね。ほぼ松本様に話していただいた通りです。遠隔点呼は誰にでも申請ができるので、そうなった時にちゃんと安全を確保できるかどうか。敷居を上げることによって、精度が高くなっているような気がします。

<赤澤>
Gマークを取得したインセンティブがIT点呼なので、ある意味「ごほうび」的な意味合いで、敷居は比較的高くないと。

<吉田氏>
そうですね。もともと高い敷居をクリアした方々ができるのがIT点呼ということです。

<赤澤>
そういう理解の仕方みたいです。坂口様、もし何か補足があれば。

<サンコーテクノ機能材事業本部の坂口正一副本部長>
そうですね。もう皆様と同じ意見です。Gマークを取得していた場合、IT点呼ができます、と。ただ当然Gマークを取得している企業様も何か問題があって、Gマークがなくなってしまえば、IT点呼ができなくなってしまいます。遠隔点呼は最初から間口が広がっている以上、よりしっかりとした管理をしなければならないところが差別化につながっているのではないかと思います。

<赤澤>
ありがとうございます。他にもたくさんいただいているのですが、時間の関係でいったん先に進めまして、余裕があればまた質問にお答えしていきます。

第10回(最終回)は、運送業における点呼の仕組みのあり方について提言します。

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