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運送会社DXに盲点、点呼業務を支援する機器・システム業界の課題や方向性探る

「遠隔点呼」めぐる論戦開始-討論イベント詳報(3)

2022年9月27日 (火)

話題LOGISTICS TODAYは、オンラインイベント「運送会社DXに盲点、“点呼業務”の主要メーカー・販社と徹底討論」を9月7日に開催。点呼業務を支援する機器・システム業界の課題や今後の方向性について論戦を展開しました。イベントにおける登壇者の具体的なやりとりを詳報する連載企画。第3回は、いよいよ登壇者によるディスカッションが始まります。

<LOGISTICS TODAY赤澤裕介編集長>
ありがとうございます。さらにここからAI(人工知能)点呼、自動点呼、ロボット点呼、といろんなものが出てくるわけです。今までの話ではIT点呼や遠隔点呼は利便性が高くて、それから時代の要請にも対応するもの、つまり必要なものであることが分かったわけです。

このあたりの話をより深掘りしていくために、タイガー様に無理を申し上げまして専門家の皆様にお集まりいただいております。皆様をお呼びする前に、投票機能をお試しいただきたいと思います。といいますのも、これから議論が本格化していく中で、ひょっとしたら皆様のお考えに変化が生まれるかもしれません。まだ議論が深く入っていく前の今の段階で、皆様がどういうふうにお考えなのかを傾向として把握したいと思います。

討論前の視聴者投票、「IT点呼」「遠隔点呼」「併用」で明確な差なし

<赤澤>
投票結果が出ましたので読み上げます。「IT点呼」が39%。それに対して「遠隔点呼」が32%ということです。「IT点呼と遠隔点呼の併用」とお答えいただいた方が29%ですね。どうなんでしょう。ほとんど差がないように思いますね。もっと差がはっきりと出るのかなと思いました。

<タイガー取締役営業本部長・成澤正照氏>
意外と「併用したい」が多かったですね。

<赤澤>
やはりそう思われますか。なるほど。

<成澤氏>
大手でもすべてがGマーク(Gマーク制度=貨物自動車運送事業安全性評価事業)を持ってるとは限りません。小さな事業所ですとGマークを持っていない場合もあります。その場合、IT点呼と遠隔点呼を併用したいとの需要が多いのではないかと思います。

<赤澤>
その話で思い出しましたけど、現在6万数千社ある運送事業者の中で、Gマークの取得率って大体3分の1ぐらいなんですよね。そう考えると、このIT点呼39%というのは、そこに基づく話なのかなと思いました。

<成澤氏>
そうですね。

いよいよ討論スタート、最初のテーマは「遠隔点呼に踏み切れない理由」の検証

<赤澤>
そのあたりの話をここからより深掘りしてまいります。そのためにタイガー様に調整いただき、点呼の機器あるいはシステムを製造・開発するメーカー3社の皆様にお集まりいただいております。製品シェアでいくと、上位3社と言えると聞いております。成澤さん、本日お越しいただいている3社の皆様をご紹介いただいてもよろしいですか。

<成澤氏>
それでは、本日ご協力をいただきますメーカー3社のご紹介をさせていただきます。私のお隣から、東海電子の取締役安全健康システム営業部部長の松本様でございます。

<東海電子取締役安全・健康システム営業部の松本剛洋部長>
はい、松本です。よろしくお願いいたします。

<成澤氏>
そのお隣でございます。テレニシの法人事業本部ソリューション営業二部部長の吉田様でございます。

<テレニシ法人事業本部ソリューション営業二部の吉田寛之部長>
はい。テレニシの吉田です。本日はよろしくお願いいたします。

<成澤氏>
そのお隣でございます。サンコーテクノ機能材事業本部副本部長の坂口様でございます。

<サンコーテクノ機能材事業本部の坂口正一副本部長>
はい。サンコーテクノの坂口でございます。本日はよろしくお願いいたします。

<赤澤>
はい、ありがとうございます。本日、ここからこの5人で、点呼DX(デジタルトランスフォーメーション)について議論していきたいと思います。皆さんどうぞよろしくお願いいたします。

(イメージ)

それでは早速なんですけれども、皆様にお越しいただく前に、成澤様に点呼の種類とその制度の簡単な特徴について教えていただきました。それを整理したところなんですけれども、その中でどうやらこの遠隔点呼が非常に利便性の高いものでありそうだということが分かってきました。

利便性が高いだけではなくて、これから変わっていく物流業界、それから運送業界の変わり方に対応していくためにも、従来の対応していくために対面点呼だけではどうやら対応できなさそうだと。そこで課題を解決していくためにはIT点呼、さらには遠隔点呼だ、という捉え方でよさそうだというのが、今のところ私の感じ方でございます。

一方で、実はこの遠隔点呼、まだ導入された企業数が非常に少ないという話も聞いております。かなり導入のハードルも高そうです。このへんのところを専門家でいらっしゃいますメーカーの3社それぞれのお立場から「なぜ、運送会社は遠隔点呼が便利だと分かっていても必要だとわかっていても、導入に踏み切らないのか」、あるいは「踏み切れない理由」といったところに着目していきたいと思います。

皆様のお手元にフリップを用意しております。本日の議論のスタートとして、このフリップに今の2つの質問について、皆様にお書きいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

「遠隔点呼に踏み切らない理由」それから「踏み切れない理由」ですね。これについてお書きいただきたいと思います。踏み切らない自らの意思だけじゃなく、踏み切れない、踏み切りたいけれども導入できない、そういう事情もあるということですね。

<成澤氏>
そうですね。コスト高というところもあるでしょうし、意外とまだ皆様がご存じではないところもあるのかなと思います。

<赤澤>
そうですね。遠隔点呼が始まったのはことし4月からでしたね。

<成澤氏>
4月ですね。

遠隔点呼導入に踏み切れない理由--「周知不足」「理解不足」「導入ハードルの高さ」

<赤澤>
4月からできるようになり今日が9月7日ですから、まだ半年経ってないわけです。そういう意味で、まだそのへんの事情もあるかもしれませんね。

皆様お書きいただけましたでしょうか。それでは一斉にお出しいただきたいと思います、お願いします。はい、東海電子の松本様が「周知不足」。テレニシの吉田様は「理解不足」。サンコーテクノ坂口様が「導入ハードルが高い。その一方で……」ということですね。

皆様にそれぞれえお話を伺っていくんですけれども、まず一言ずつ、お書きいただいたキーワードの意図を教えていただければと思います。まずは松本様、「周知不足」ということですか。

<松本氏>
はい。先ほどおっしゃられていたように、単純にまず周知不足があって、遠隔点呼の良さとか利便性を知らないのもあると思います。加えて、申請するためのいろんなノウハウ、知るべきこともまだまだ周知不足というところです。

<赤澤>
なるほど、ありがとうございます。後ほどもう少し深掘りしてうかがいたいと思います。吉田様も「理解不足」ということで、「不足」のキーワードは共通しておりますね。

<吉田氏>
はい、そうですね。利用いただく方々に、まだまだ遠隔点呼の理解不足が往々にしてあるのかなと現場では思っておりますので、そういった点を挙げさせていただきました。

<赤澤>
なるほど、ありがとうございます。これについても、後ほどその詳しい事情をうかがいます。坂口様は「導入ハードルが高い。その一方で……」ということですが。いかがでしょうか。

<坂口氏>
当社の場合、東海電子様やテレニシ様のように今もうすでにその仕組みが出来上がっているというよりは、どちらかというと開発を急ピッチに進めている中で、IT点呼を使っていただいているお客様の声として「導入ハードルが高い」という意見があるのが一点。「ただその一方で……」という書き方をさせていただいてるのは、その裏腹な部分ですね。そういったところをご説明できればと考えております。

<赤澤>
なるほど、それはぜひうかがいたいです。後ほどまた詳しくうかがいます。お越しいただいている東海電子様、テレニシ様、サンコーテクノ様、それから私の隣にお座りいただいてるタイガー様と、これから運送業界が点呼DXに向き合っていくうえで、そろい踏みすることはなかろうというような顔ぶれでお集まりいただいております。

普段はおそらく、この3社は競合会社としてしのぎを削っておられるのではないかと思います。なかなかこういう機会はないと思いますので、ぜひご遠慮なく聞きたいことをQ&Aにご記入いただければと思います。それでは、順にうかがっていきたいと思います。

第4回は、それぞれの登壇者の「本音」に迫っていきます。まずは、東海電子の松本氏です。

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