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運送会社DXに盲点、点呼業務を支援する機器・システム業界の課題や方向性探る

遠隔点呼「始めるなら今か」-討論イベント詳報(8)

2022年9月29日 (木)

話題LOGISTICS TODAYは、オンラインイベント「運送会社DXに盲点、“点呼業務”の主要メーカー・販社と徹底討論」を9月7日に開催。点呼業務を支援する機器・システム業界の課題や今後の方向性について論戦を展開しました。イベントにおける登壇者の具体的なやりとりを詳報する連載企画。第8回は、「遠隔点呼をトライすべきか否か」について議論します。

「遠隔点呼、今始めるべきか」で議論、視聴者投票は登壇者討論を踏まえて「遠隔点呼を検討」増加

<LOGISTICS TODAY赤澤裕介編集長>
ひとつ思うことがあります。ここまで皆さんの話を伺って、心が揺れ動いているのが正直なところです。ひょっとしたら見ている方もそうかもしれないし、メーカーや販売されている皆様もそうではないかと、頭をもたげてきたんですよ。

ここで皆様にお聞きしたいのが、遠隔点呼のメリット、デメリットを踏まえたうえで、現時点でトライすべきですか、それともステイですか。もう少し待った方がいいのか。皆さんにもお尋ねしたいし、見ていただいている方にもお聞きしたいと思います。

皆さんに先に答えていただくと、ご覧になっている方々に影響を与えそうな気がするので、視聴者の皆様を対象にまず投票を取りたいと思います。ここまでのIT点呼、自動点呼、それから遠隔点呼の話を踏まえて、もう一度、先ほどと同じ質問をさせていただきたいと思います。

(イメージ)

IT点呼、遠隔点呼、あるいはハイブリッドつまり併用、皆さんどれを検討したいと思われましたでしょうか。視聴者の皆さんにお答えいただいた後に、改めて今日ご登壇いただいている方々にも、お尋ねしたいと思います。

先ほどは1番多かったのがIT点呼で39パーセント。ただし多かったと言えども、3つともほぼ均等な状況でした。それがひょっとしたら、今日のお話で変わるかもしれない、どうなんだろうという点に興味があります。結構悩ましいですよね。

<タイガー取締役営業本部長・成澤正照氏>
IT点呼はそもそも、Gマーク(Gマーク制度=貨物自動車運送事業安全性評価事業)がないと取れないので、遠隔点呼をやるべきかやらないべきかと考えたときには、そこの判断になってくると思います。

<赤澤>
なるほど。それでは、結果が出ましたので読み上げます。先ほど39%で最も多かったIT点呼が20%に。遠隔点呼は47%と大きく伸びました。IT点呼と遠隔点呼併用が33%。ここは少し増えました。これをどう捉えるかをうかがったうえで、皆さんの意見も聞きたいと思います。

まずは吉田様からうかがいます。こういう結果になりましたけれども、どう感じられましたか。

登壇者も遠隔点呼の導入を推進、社内への落とし込みで慎重な手続きを指摘する意見も

<テレニシ法人事業本部ソリューション営業二部の吉田寛之部長>
そうですね。今まで皆さんとお話をしてきた中で、見ていただいてる方に遠隔点呼の理解を深めていただけたのかなと、率直な意見としてそう思いました。

<赤澤>
なるほど。

<吉田氏>
それを踏まえたうえで、遠隔点呼の伸び率が上がっている。私の回答としましても、様子見ではなく、遠隔点呼はどんどん進めていただくべきだと思います。

<赤澤>
意見を表明いただき、ありがとうございます。それはそうですよね。私もそういう面がある気がします。坂口様はいかがですか。

<サンコーテクノ機能材事業本部の坂口正一副本部長>
私としては実際にGマークがない状態で、そういったものの導入ができるという意味では進めるべきだと思っています。ただし正直なところ、今の申請の状態を含めると、いかに社内に落としこみやすい仕組みにするかという意味で、ある程度様子を見ながら導入に踏み切っていただくことも必要だと考えます。

<赤澤>
なるほど。どちらの選択をしたとしても、理由が見い出せるということですね。

<坂口氏>
そうですね。間違いなく、導入することがプラスになるとは思っています。

<赤澤>
なるほど、ありがとうございます。松本様、この結果をどうお考えですか。

遠隔点呼はまだ点呼DXの「第一歩」

<東海電子取締役安全・健康システム営業部の松本剛洋部長>
そうですね。率直に運送事業者が人手不足であるなど、いろんな問題に悩まれている。それが反映されているのかなと思います。あえて言うならば、この遠隔点呼って本当にまだ一歩目だなと考えています。

国土交通省が考えるプランは、運送会社の運行管理者が携わるすべての業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めて楽になっていただきたいと思います。遠隔点呼の話の前に、それを一歩目としてさらにDXを進めて、「リモートワークで運行管理者は17時には家に帰って」ということが実現できる社会がやってくるのではないかと思います。

<赤澤>
実は大事なことをおっしゃっていただきました。運送業は新型コロナウイルス禍において最もリモートワークの難しい業種だと見なされています。これは社会的にもコンセンサスみたいなものがあるんですけれども。

(イメージ)

もちろん全部は無理としても、運送業務の中での点呼や運行管理におけるリモートの可能性はIT・デジタルの力によって変わってくるわけで。それによってもう少し業務の負荷が下げられそうだなと感じれば「ITの知識が必要なら、チャレンジしてみようかな」というように変わってくる要素を感じさせられます。

<成澤氏>
はい。東海電子様がフリップに書かれた「遠隔一強」が頭にずっと残っているのですが、本当に遠隔点呼がきちっとした形で出来あがったとき、もしかすると遠隔点呼を使いながら点呼自体を外部に委託することも可能なんじゃないのかな、と思いました。

当然ながら、それはそれとして制度を作らなければいけないと思いますが。遠隔点呼がきちっと出来あがることによって、人的な不足への対策として、点呼の外注も今後可能になってくるのではないかと、ふと思いました。

<赤澤>
なるほど。確かIT点呼が出てきたときも、その可能性について議論があった気がします。点呼業務を請け負うことによって、それを強みとしている会社からしてみれば、さらに強みにより磨きをかけて、経済的にもそれで安定させていく方法が考えられます。

逆に言えば、なかなかそれが難しい運送事業者は、自社ではカバーしきれないのだけれども、サポートしてくれる会社の力を借りて完璧な点呼をやっていくと、安全をしっかりと守っていけるようになっていくということです。

これは非常に重要であり、お聞きいただいてる皆様も新しいビジネスの可能性をぜひ、お考えいただいてもいいのではないかと、私も聞いていて思いました。

どういう方々がそういうビジネスに名乗りをあげるのでしょうか。運送会社の方々なんですか。それともタイガーさんみたいな会社ですか。

<成澤氏>
運送事業者が適任かと思いますけれども。

<松本氏>
実はですね、一部実現しつつあります。白ナンバーの義務化に関して警察庁にその要件を確認したところ、外部の方のアルコールチェックは問題ないんですね。そのうえで「アルコールチェックを受託します」というビジネスは、白ナンバーではもう一気に始まっています。

10年遅れで義務化が始まった白ナンバーが、法的に満たすことで一気に追い抜いていく。そういう世の中になっているのが、現実にあります。整備さえできれば、可能性はあると思います。

<赤澤>
それはなかなか大事な話です。私ももっと聞きたいので視聴者の皆様、ぜひ質問されたらいいのではないかと思います。個別に回答いただけるかもしれません。

第9回は、視聴者からの鋭い質問に登壇者が応じます。

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