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「顧客迷惑の最小化で責任果たす」日野社長が会見

2022年10月7日 (金)

▲記者会見する日野自動車の小木曽社長(中央)ら

荷主一連のエンジン認証不正問題を受け、役員4人の辞任をはじめとする社内処分を7日に決めた日野自動車。小木曽聡社長は同日夜、東京都内で記者会見し、「経営の責任は重く、厳正な対処と二度と不正を起こさないための改革を行う」と述べ、会社立て直しへの決意を改めて表明した。

会見で小木曽社長は、同日付の辞任とした3人の取締役・専務役員と1人の専務役員の処分理由について、法的な責任はないと断った上で、「(担当部門の責任者として)これだけ大きな問題を見つけたり対処できなかったりした役員としての責任がある」と説明した。

それに対し、自らは辞任せず続投とし「月額報酬50%の6か月間減額」の処分としたことについては、「昨年6月の就任というタイミングを考慮した。利害関係者の方々への迷惑を少しでも早く小さくするための陣頭指揮をすることが、私の責任の果たし方だと考えた」と述べた。

ことし3月の問題発覚以降、相次ぐ出荷停止で運送会社など多くのトラックユーザーが新車の購入や代替えをできずにいる。大型トラックの生産・出荷再開の時期は見通せず、社長自身もスケジュール感を示せないという。それについて社長は「ご迷惑をおかけして申し訳ない」と陳謝した上で、進行中の顧客対応の一端を明らかにした。50人の社員を販売会社に送り、新車が買えないユーザーの要望を聞いているという。「中古車を代車として提供したり、適切な中古車を探したりする支援活動に販売会社と一丸となって努めている」と説明した。

実際に、不正問題で日野の多くの車種が出荷停止となり、トラック運送の業界団体にも会員各社から困惑の声が届いている。「新車を購入できない」「計画的な代替えができない」といった声が多い。車両の更新を先延ばしすれば、それだけ故障も増え維持費が膨らんでしまう。出荷再開の時期が読めないことが、経営の不透明要素として各社を圧迫している。

日野にもこうした声が届いており、小木曽社長が会見で語ったユーザー支援を、今後同社がどれだけ丁寧・持続的に進められるかが、今後の信用回復と会社再生にとって不可欠となる。

日野自取締役ら4人が辞任、不正問題で引責