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パレット単位の輸送保管サービス、首都圏物流HD

2023年1月5日 (木)

サービス・商品路線以上チャーター未満の物量輸送はお任せ−−。東日本を中心にロジスティクスサービスを展開する首都圏ホールディングス(東京都板橋区)は5日、パレット単位での輸送・保管に特化した新サービス「パレットロジ」を1月から提供を開始すると発表した。「路線便では断られやすく、チャーター便では割高になりがち」という輸送課題の解決に寄与する。

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パレットに積み付けができれば、長尺物や異形物にも対応が可能。料金は1パレット当たり3800円からと「割安な価格設定」(同社)とした。最短翌日着で時間指定のある荷物にも対応する。

同時に、パレット単位の少量貨物の保管サービスも新たにスタートする。一時的に荷物を別の場所に移動させたかったり、繁忙期だけスポットで利用したかったりするニーズに応える。

初期費用は無料で、使った日数分だけ支払う従量課金制を採用。段ボールやパレットの単位と日割り計算(1日1パレット70円〜)で、物流コストの最適化を実現する。

同社は500台の自社トラックを保有し、拠点30か所の物流網を構築している。混載便・共同配送ネットワークがあることから、1〜3パレット程度の中ロット貨物の輸送を得意としている。今後、全国の提携先を含めて既存の物流網を活用して、東北、関東、中部、関西の4エリアで提供を始め、今後は中四国と九州にも順次拡大していく予定。

選択肢の間隙を突いたビジネス機会を捉えよ、それが難局を打破するヒントだ

小口と大口には対応しているのに、その中間がない。日常のあらゆる場面で、こうした悩みを抱いた経験はないだろうか。

画一的なサービススタイルから脱却するために、その提供者は複数の選択肢を整える。それでも受け手は許してくれず、さらに柔軟な対応を迫ってくる――。さまざまなサービスの質を競う競争では、こうした選択肢の間隔をいかに狭めるかが腕の見せどころなのだろう。

こうした事情は、物流サービスの世界でも決して例外ではない。むしろ、事業者はこうした選択肢を増やすのに躍起になっているのが実情だろう。

寸法や重量で細分化された料金体系はその象徴だ。世界でも無類のサービス品質をさらに追求して市場競争に挑む構図は、EC(電子商取引)の急速な普及や人材不足の顕在化で変革を迫られている物流業界で、これまでになく顕著になっている印象だ。

(イメージ)

首都圏物流グループの新サービスであるパレットロジは、路線便とチャーター便の間隙に着目した。そこでさまようニーズを満たすサービスとして、パレット単位での輸送という新たなアイデアをビジネスにつなげた。「効率化」「最適化」が合言葉である昨今のニーズを踏まえて物流コストの最適化を図ることで、新規顧客の獲得につなげる狙いだ。

サービスを依頼する側にとってみれば、「帯に短し襷(たすき)に長し」の状態にあった輸送サービスの細分化で、新たな選択肢を手にすることができるわけだ。パレットの機動力を生かせば、スポット利用や一時的な移動など、これまでの路線便では対応が難しかったサービスを受けることも可能になる。

先進機器・システムを活用した斬新な施策をイメージしがちなイノベーションの取り組み。しかし、既存のサービスや資産を応用することで実現できるイノベーションもある。今回のパレットロジはまさに後者を象徴する好例として、今後の展開に注目していきたい。

さまざまな課題を抱えてスタートした2023年。難局を打破するヒントは、意外にもすでに現場に転がっているのかもしれない。ハイテクでもアナログでも良い。それを生かすも殺すも「知恵」なのだ。(編集部・清水直樹)

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