ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

トラック協会幹部3者が討論、「業界の体質改善を」

2024年5月10日 (金)

イベントパシフィコ横浜で開かれている「ジャパントラックショー2024」の2日目、主催者特別プログラムの講演として、首都圏のトラック協会幹部が登壇するパネルディスカッションが開催された。登壇者は、千葉県トラック協会の池田和彦会長、東京都トラック協会の鎮目隆雄副会長、神奈川県トラック協会の東海林憲彦副会長の3人で、モデレーターは本紙編集長・赤澤裕介が務めた。

電話とファクス頼りは業務だけでなくトラック協会にもデメリット

2024年問題への対応など、各都県で業界を主導することを求められるトラック協会のあり方について赤澤から問い掛けがあった。これに対して、神奈川県ト協の東海林氏は「社会的インフラとして運送業の存在感が高まっているなか、制度改正や社会へのアピールなどをしていくために、業界の声を集約していくための機能を果たしていきたい」と答えた。

また、そうしたことの実現のために、千葉県ト協の池田氏は「各事業者をコンプライアンス的に問題のない事業者にしていくためにも、教育、サポートなどを提供していくこと」が必要であるとした。

▲一般社団法人千葉県トラック協会 会長 池田 和彦氏(右)、一般社団法人東京都トラック協会 副会長 鎮目 隆雄氏(中)、一般社団法人神奈川県トラック協会 副会長 東海林 憲彦氏(左)

しかし一方で、各事業者のメリットになる助成、研修などの情報があっても、各事業者に伝えることができないという問題もあると、東京都ト協の鎮目氏が指摘。そうした情報を協会の会報誌の記事にしても「あまり読んでもらえていない」(鎮目氏)が、その原因の一つは、「トラック業界のコミュニケーションが以前と変わらず電話とファクスに頼っていること」であるとした。3者ともに、国が行っている補助事業や助成事業などの情報や、協会から事業者に伝えるべきことがちゃんと伝わる仕組み作りの必要性を訴えた。

運送業を人が集まる業界に

▲モデレーター本誌編集長の赤澤裕介

24年問題で焦点となるのが人手不足だ。池田氏は、この問題について「人手不足は全産業の問題」とした上で、「トラック業界にも働き手がきてほしいし、海外から人材を集めるのにも賛成だ。しかし、外国からわざわざ生産性が悪い業界に呼ぶのは順序が違う」のではないかと、まずはトラック業界が体質改善する必要があると力説した。

東海林氏もまた、「24年問題は商習慣が見直されるいい機会」とし、ドライバーの働き方改革などとともに、各事業者が効率的に事業を継続できるよう、サポートする存在として各トラック協会が動くべきだと語った。鎮目氏はこれまで「運送業は荷役など、荷主に対して過剰にサービスを提供」してきた商習慣に対して、「規制緩和の弊害」とし、これを改めること無しに待遇改善は行えないと語った。

「標準的な運賃」が「標準的運賃」に

運賃の話題が出ると、鎮目氏が、「国土交通省が以前は『標準的な運賃』と表記していたものを『標準的運賃』と書くようになった」事例を挙げ、ゆくゆくは国が定めた運賃が「標準運賃」となっていくのではないかと観測を述べた。池田氏が「荷主の業種にもよるが、自社では、標準運賃に基づいた運賃を設定すると言ってもらえることも増え、荷主の理解度が上がっている。運賃向上は求めていくべき」と語ると、東海林氏、鎮目氏も賛意を示した。

東京都ト協では全国紙に荷主向け、一般消費者向けの意見広告を数回出しているが、鎮目氏によると「運送業、トラックドライバーの存在や仕事の意義への理解が進んでいることを感じている」という。また、東京都ト協の広告は、産業振興のための助成金を活用していることが述べられた。

運賃については、特に企業が大企業であればあるほど、経済産業省などの中央官庁からの指導が強く入り、交渉に応じてもらいやすいとの意見も聞かれた。また、中小企業が大半を占める物流業界においては、「大企業が率先して襟を正し、範を示すべきではないか」(池田氏)との声も上がった。

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com