国際米総合不動産サービスのジョーンズ・ラング・ラサール(JLL)は11日、今年第3四半期(7-9月)のアジア太平洋地域の商業用不動産投資額は前年同期比82%増の388億ドルになったとのまとめを発表した。2022年の利上げサイクル開始以来最高額で、4四半期連続での増加となる。年初来(1-9月)の投資額も同28%増の963億ドルだった。
地域全体の投資額をみると、オフィスと物流施設への投資が全体の半分以上を占め、オフィスでは、ソウルと東京での投資活動が好調だった。ソウルでは来年、Aグレードオフィスの新規供給がないことから需要が高まっており、賃料上昇率がインフレ率を上回っている。東京は、Aグレードオフィスの空室率が3%前後で、賃料は3四半期連続で上昇した。
物流施設では、賃料の見通しが堅調な日本に対して国内外の投資家が強い投資意欲をみせている。オーストラリアへの投資も回復し、シドニーやメルボルンなどのゲートウェイ市場での取引が活発だった。
また、デジタルインフラ、再生可能エネルギー、エネルギー安全保障などインフラへの投資が活発化している世界的な潮流を受け、データセンターなどの大規模インフラへの投資も増えている。今年上半期には、アジア太平洋地域を投資対象としたインフラファンドの資金調達が好調で、投資額は132億ドルとなった。昨年1年間の世界の新規再生可能電力容量の70%を同地域が占めたこともあり、さらに多くの資金がインフラ投資へ流入すると予想される。
セクター別に見ると、賃貸住宅を除くすべての主要な不動産セクターで投資額が拡大した。特に海外投資額は、海外投資家によるオフィスと物流施設に対する強い関心が下支えし、年初来で前年同期比6%増の145億ドルとなった。
地域別では、韓国で大型オフィスの売買案件が復活し、同地域で最も投資活動が活発な市場となった。日本での3Qの投資額は84億ドルで、過去最高の訪日外国人数を背景とした大規模なホテル資産の取得が市場をけん引した。シンガポールも好調で投資額は44億ドル、前年同期比118%増となった。
同社は日本の不動産投資市場について「大きなレバレッジ効果が得られる良好な借り入れ環境も相まって、引き続き国内外の投資家から選好されており、この地域への投資額が22年以来の最高額を記録したのも、日本市場の貢献が極めて大きかった。当面の間は現状の金融政策が続くとみられ、日本の不動産投資市場が持つ安定性と合わせ、今後も投資市場は活発化する」としている。
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