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英BSIが報告書

世界のサプライチェーンで輸送中の盗難増大

2025年3月21日 (金)

調査・データBSIコンサルティングは近く、グローバルサプライチェーン(SC)の複合的リスクへの対応には統合的アプローチが不可欠だとする「サプライチェーンリスクと機会に関する2025年報告書」を発表する。報告書によると、企業が多様な脅威を「一つの包括的なレンズ」で見ることで回復力を高められるとしている。

同報告書では、24年のSCが貨物盗難の手法変化、地政学的緊張、自然災害、サイバーセキュリティーリスクなど、相互に関連した複数の課題に直面した実態を明らかにした。特に輸送中の貨物盗難が前年比で14ポイント増加し41%に達した点が注目される。

BSIのスーザン・テイラー・マーティンCEO(最高経営責任者)は「調達、物流、運用といった個別視点ではなく、企業全体で統合されたリスク管理が今や不可欠」と言及している。

地政学的影響では、イスラエル・ハマス紛争によるスエズ運河の通過貨物量が60%以上減少し、グローバル物流に大きな混乱をもたらした。またアメリカの政権交代に伴う貿易政策の変更も重要なリスク要因として記載された。

気候関連では、アメリカだけで27件の気象災害が各10億ドル以上の損失を記録。25年1月のロサンゼルス火災では1万6000棟の建物が被害を受け、経済損失は2500億ドルに達した。

サイバーセキュリティー面では、24年7月のグローバルソフトウエア障害が航空、医療、金融など複数セクターに大規模な混乱をもたらした事例を強調。

製品別の盗難データでは、食品・飲料製品(22%)、農産物(10%)、電子機器(9%)が上位を占め、ブラジル、インド、ドイツ、イギリス、アメリカが戦略的盗難の多発国となった。

また、盗難手法も高度化し、書類偽造やFMCSA(連邦自動車運送安全局)の休眠番号を悪用した架空集荷など、テクノロジーを活用した手口が増加。

報告書は持続可能性の重要性も指摘。欧州連合のCSRD指令やアメリカのウイグル強制労働防止法などの規制が、企業にサプライチェーン全体の透明性と責任を一層求めるようになったと分析した。

BSIコンサルティングのジム・ヤーブロー氏は「25年も政治的、環境的、技術的要因がサプライチェーンに大きな影響を与え続けるだろう」と述べ、企業がリスクに積極的に対処し、調達戦略を多様化させ、革新的技術を採用することの重要性を強調した。​​​​​​​​​​​​​​​​

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LOGISTICS TODAY編集部
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