調査・データ米市場調査会社Panorama Data Insights(パノラマデータインサイト)は22日、世界の鉄道物流市場は2031年に3兆6060億ドルに達し、22年の1兆9950億ドルの1.8倍に拡大するとのレポートを公表した。この間の年平均成長率(CAGR)は6.1%となる。
レポートによると、鉄道物流市場の成長を支えているのは、環境意識の高まりで、鉄道は他の輸送手段と比較して、二酸化炭素(CO2)排出量が少なく、より持続可能な選択肢と見なされている。また、多くの国が鉄道輸送の効率性を向上させるために、最新技術を取り入れたインフラ整備を進めており、鉄道輸送の速度と運行への信頼性の向上が、需要拡大につながっている。
さらに、技術革新も重要な役割を果たし、自動運転車両やIoT技術の活用で、貨物の追跡や監視が容易になり、輸送中のリスク管理が強化されている。AIを活用した輸送スケジュールの最適化や需要予測技術の進化も、運行コストの削減に貢献すると期待されている。
一方で、鉄道物流市場は、インフラの老朽化と維持費用の捻出という課題を抱えている。特に、発展途上国においては、鉄道網の整備が遅れており、それが物流効率に影響を与えている。また、鉄道輸送の高い初期投資や保守管理のコストも課題で小規模な鉄道物流業者は競争力を維持することが難しい。
地域別にみると、北米やヨーロッパでは、既存の鉄道インフラが成熟し、需要も安定し新技術の導入や効率化の推進によって市場の成長が期待されている。アジア太平洋地域では、急速な経済成長と共に鉄道物流市場が急速に拡大。特に中国やインドでは、鉄道物流の需要が急増しており、インフラ投資が大規模に進められている。南米や中東、アフリカ地域でも鉄道物流の成長が見込まれているが、これらの地域ではインフラの整備や効率化に時間がかかる可能性があり、市場成長はやや緩やかになると予測される。
同社は「今後も持続可能な輸送手段としての強みを生かしつつ、新技術の導入によって、市場は進化し続けると予測される。特に、スマートシティやグリーン物流の推進とともに、鉄道物流の重要性は増していくだろう」としている。
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