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ロジスティクスプロロジスはこのほど、東京都千代田区の同社オフィスで、物流スタートアップによるピッチイベント「inno-base Pitch」（イノベースピッチ）を開催した。同社が運営するインキュベーション施設「inno-base」に入居するスタートアップ企業が、荷主や物流企業に向けて最新のソリューションを提案する場だ。
▲ピッチイベントの様子
プロロジスは、ハードウエアからソフトウエアまで幅広い領域のスタートアップと物流現場を直接つなぐことで、業界全体のDX（デジタルトランスフォーメーション）と効率化を加速させる方針を掲げている。本イベントもその一環であり、参加者は講演後のネットワーキングを通じて登壇企業と活発に意見を交わし、具体的な導入検討や協業の可能性を探るなど、実践的な共創の場となった。
イベントにはハクオウロボティクス（東京都荒川区）、xNEXT（クロスネクスト、渋谷区）、日本AIセンターホールディングス（茨城県つくば市）のスタートアップ3社が登壇し、自動化技術や福利厚生を通じた物流課題の解決策を提示した。
冒頭、プロロジス開発部長の森田大輔氏は、物流業界が直面する人手不足や「2024年問題」に触れ、危機を変革の好機と捉える同社の姿勢を強調した。森田氏は、同社単独での課題解決には限界があるとし、スタートアップとの共創を通じて「三方よし」の世界を実現したいと述べた。また、同社のグローバル展開がインドを含め20か国に拡大したことにも触れ、広範なネットワークを活用した支援体制をアピールした。
▲プロロジスの森田大輔開発部長
ハクオウロボティクスは、自動フォークリフト「AutoFork」（オートフォーク）を紹介。同社COOの塩原努氏は、同製品が既存のフォークリフトに近い操作性を持ち、作業者が手動で走行したルートを記憶して自動走行する「プレイバック機能」を搭載していると説明した。これにより、専門的なプログラミングなしで最短半日で導入が可能だ。価格面では標準モデルで、従来の自動フォークリフトに比べ大幅な低価格化を実現した。質疑応答では、障害物検知センサーによる安全性や、エレベーター連携による階層移動の実績についても言及し、現場導入への具体性を示した。
▲ハクオウロボティクスの塩原COO
クロスネクストは、メーカーの余剰在庫を活用した従業員向け福利厚生サイト「社割NEXT（ネクスト）」を提案。松本和浩社長は、廃棄される在庫が年間4兆6000億円に上る現状を指摘し、クローズドな市場で従業員に安価に提供することで、ブランド毀損を防ぎつつ在庫を適正化する仕組みを解説した。導入費用は月額3300円と低廉に抑え、物流現場で働く従業員の満足度向上や、返品在庫の受け皿としての活用を訴求した。松本氏は、今後はパートナー企業との連携によるOEM提供や、代理店網の拡大を進める方針を示した。
日本AIセンターホールディングスは、物流倉庫向けの搬送・清掃ロボットを紹介した。社長の安倍正貴氏は、ソフトバンクロボティクスとの提携により、プードゥ・ロボティクス（中国）製の搬送ロボット「T300」や清掃ロボットを展開していると述べた。T300は最大300キロの積載が可能で、かご車のけん引や棚の持ち上げなど、用途に応じた柔軟な運用ができる。会場からの「かご車けん引時の接触リスク」に関する質問に対し、安倍氏は専用のけん引器具を用いることで旋回時の振れ幅を抑制し、安全性を確保していると回答した。また、5000平方メートルを超える広大な倉庫での清掃自動化ニーズに対し、無償のテスト導入などを通じて提案を強化する姿勢を見せた。
プロロジスによるこうした継続的な支援イベントは、技術と現場のミスマッチを解消し、物流業界の課題解決を前進させる重要な取り組みだ。スタートアップの成長と物流現場の革新を両輪で支える同社のエコシステム構築に、今後も期待が寄せられる。（菊地靖）
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