サービス・商品enstem(エンステム、東京都中央区)は12日、ヤマトホールディングス(HD)傘下のヤマトマルチチャーター(京都市伏見区)が、ドライバーの健康・安全管理プラットフォーム「Nobi for Driver」(ノビ・フォードライバー)を本格導入すると発表した。
両社はことし7月から同システムの試験運用を開始し、8月5日に運用開始を公表していた。試験運用の結果、ドライバーの疲労やストレスなど従来把握が難しかった兆候の早期検知や、健康リスクが発生しやすい作業の特定による運用改善が確認されたことから、今後は段階的に対象拠点や車両を拡大していく。
Nobi for Driverはウエアラブルデバイスなどのデータを基に、個人やコース、事業所単位でリスク兆候を可視化し、点呼や休憩指示、教育、シフト設計などに活用できる点が特徴。試験運用では、積み下ろし作業時に発生した熱中症兆候のアラートから特定の場所や時間帯でリスクが高まる傾向が把握され、作業配置や休憩タイミングの改善に結びつく示唆が得られた。また、深夜帯の作業ではドライバーの体感と一致した熱中症兆候の検知が複数回確認され、見えにくい負荷の蓄積を可視化することで適切な配置判断に役立った。長距離走行中には疲労アラートが連続で発生し、休憩取得によって心拍や負荷指標が回復したことから、休憩効果が裏付けられる結果も得られている。
今後は、実事故やヒヤリハットとの相関分析を進め、予兆検知モデルの高度化や運用ルール・教育体系への反映を図る。健康・安全に関するKPIを継続的にトラッキングし、人的資本やESG領域での説明力向上も目指す。将来的には保険や金融、ポイントサービスなどとの連携も視野に入れ、「安全に働くほど報われる」仕組みづくりを進めていく方針だ。
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