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「過疎地域の課題一様でなく、物流も複数メニューから」と指摘

物流連、高知県の中山間地域で物流視察調査

2014年11月7日 (金)

ロジスティクス物流連、高知県の中山間地域で物流視察調査 日本物流団体連合会(物流連)は7日、高知県中山間地域で10月31日に物流の視察調査を実施したと発表した。

物流連が昨年から開始した「山間過疎地域における輸送の維持・確保に関わる調査検討小委員会」の検討が進んできており、検討方向に対応して小委員会の委員、関連する物流事業者が実際に地域活性化を進める現場を訪問、担当者から話を聞き、地域の取組みやそれを支える物流と新規サービスの実例を調査したもの。

小委員会を構成する学識者、広域物流事業者、国土交通省・高知県などの行政、物流連事務局を中心とする合わせて21人が参加し、県下の商工会、県が政策的に支援している集落活動センターなど3か所を視察した。

最初の訪問先となった仁淀川町商工会(町人口6500人、高齢化率50.3%)では、広域物流事業者による買い物支援のサービスと行政が結んだ「見守り支援」協定の概要説明を受けた。

ここでは「移動スーパーは家から離れたところまでしか来ない」「高齢なので米など重量がある荷物を運ぶのがつらい」といった地域住民の声をきっかけに、行政が物流事業者からの提案を受け、9月から開始した。

物流事業者は、地域の商店と住民を物流サービスで結び、地域振興につなげることを目指しており、今後はサービスの認知度を上げて利用者を増やすことが課題となっている。

続いて訪れた土佐町石原地区の集落活動センター「いしはらの里」(集落人口378人、高齢化率48%)では、旧小学校校舎を活動の拠点として、地域住民による主体的な地域活性化の取組みを行っていると説明を受けた。

「店舗が営業縮小し買い物が不便」「移動するにもその手段がない」などの声を受け、ワークショップや協議会を開催、ほぼ全世帯からの出資で生活用品を扱う店舗とガソリンスタンドを設立し、あわせて灯油や生活用品・食品などの配達サービスなどを行っており、現在は直販所の新設なども進めている。

物流連、高知県の中山間地域で物流視察調査最後の訪問先は、集落活動センターとして県内で最初に作られた本山町汗見川地域の集落活動センター「汗見川」(集落人口196人、高齢化率57%)で、旧小学校校舎を利用した宿泊施設「清流館」を交流拠点化。高齢化率が高まる中で、自然の恵みを生かした特産品の販売や交流イベントを中心とした活動を進めている。

今回の視察により、物流連では「過疎地域の課題は、人口減少・少子高齢化に伴って生じる一様の課題と捉えられるものではなく、地域ごとに条件や住民の意識が異なり、取組みも違ってくることが確認された」と指摘。

さらに、「物流事業者がどのようにそれぞれの地域の課題に関わることができるか、どのように輸送の維持は図られるかということも、いくつかのメニューから選ばれることになるのではないか」との見方を示した。小委員会は、今回の視察調査を踏まえた検討結果のとりまとめを進める。