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東北・首都圏の冷蔵倉庫、被災貨物巡り荷主対応に苦慮

2011年4月21日 (木)

環境・CSR東日本大震災で被災した冷蔵倉庫事業者が、営業再開を目指す際、新たな課題に直面している。

被災した大量の保管貨物に対する処理費用と廃棄するまでの保管費用は、約款上、荷主負担となっているが、荷主・冷蔵倉庫事業者ともに被災した立場であるケースが少なくないこともあり、「請求しづらい」と対応に苦慮している事業者が続出。これが営業再開の足かせになっているという。

こうした会員事業者の声を受けて、日本冷蔵倉庫協会は20日、荷主宛てに「東日本大震災による被災貨物の処理について」と題した文書を送付した。

文書では「仙台地区のようにインフラ供給が再開され復旧活動が本格化し始めたところも出始めた。首都圏では庫内整理に見通しをつけ、本格的な業務再開に向かっている事業者が多くなりつつある」と再開に向けて準備が整いつつある営業倉庫事業者の状況を説明。

被災施設では大量の保管貨物が被災し、商品としての価値がなくなり、保管を継続できないものが「相当量出ている」が、「標準冷蔵倉庫約款(甲)第22条」などの規定では、寄託者である荷主が処置することになっている。また、状況によっては、冷蔵倉庫事業者が廃棄などの処置をとることができると規定されているが、この場合でも廃棄に要した費用、商品損害、処置されるまでの倉庫料金は荷主負担になる。

同協会によると、被災地を巡回した際、事業者から「施設は復旧したが、被災貨物を処理しなければ営業を再開できない。荷主も被災者であり、一方的には廃棄・保管費用を請求しづらい」という切実な声が多く聞かれたという。

こうした事業者の声を踏まえ、荷主宛ての文書を作成・送付したが、協会は取材に対し「経営的に苦境に陥っている会員事業者もあり、何とかしなければという思いだが、協会の立場として、個別の取引に介入するわけにはいかず、文書で荷主に規定をお知らせすることにした」と、対応に苦慮していることを明かした。協会では、平行して民主党、国土交通省などに建物や保管商品に対する財政支援を要望している。