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国民生活センター調べ

宅配型クリーニングでトラブル急増、昨年の3倍ペース

2015年3月9日 (月)
ネット宅配型クリーニングでトラブル急増、昨年の3倍ペース

▲クリーニングのインターネット通販に関する相談件数(出所:国民生活センター)

ECインターネットを利用したクリーニングの宅配サービスが伸びる中、クリーニングのネット通販に関する相談件数が2009年度の17件から、14年度は156件と9倍以上に急増していることが分かった。厚生労働省でも消費者保護の観点から自治体に通知を出しており、国民生活センターではトラブルに巻き込まれないよう注意喚起している。

国民生活センターのまとめによると、クリーニングに関する相談は13年度に6000件を超えたが、店舗数は減少傾向で、相談件数も減少傾向にある。こうした中、インターネットで申し込む形態のクリーニングの相談が増加。

中でも衣類の受け渡しに宅配業者を利用する、いわゆる宅配クリーニングと呼ばれるタイプ(ネット宅配型)の相談が目立っており、店舗を構えるクリーニングと異なり消費者と事業者が直接対面しない形態でサービスが提供されていることが原因と考えられるトラブルが生じている。

クリーニングのインターネット通販に関する相談件数は、09年度に17件、10年度17件、11年度40件、12年度57件、13年度56件、14年度156件と急カーブを描いて増加しており、13年度の同時期には48件となっていたことから、14年度の急増ぶりがうかがえる。

■国民生活センターが利用者から受けた相談事例

相談事例1「宅配の保管サービス付きクリーニングに出した。引越しのため、送付先の変更の連絡をしたところ、受け取っていないと言われた。その後再度事業者が調べたところ紛失したようだ。連絡が来ず、対応が悪い」
相談事例2「ワンピースのクリーニングを依頼したつもりが、パーティードレスだと判断され、5倍以上の金額の請求をしてきた。キャンセルを申し出ても応じない」
相談事例3「2、3週間で返却と言われたが戻って来ないため連絡したところ、半年かかるというので早急に対応するよう依頼した。戻ってきたダウンジャケットの袖口の汚れが落ちていないので苦情を言ったが対応しない」
相談事例4「ドライクリーニング不可なのに行って生じたクリーニング事故自社の規約で補償上限額が1万円と言われた」
相談事例5「紛失事故で問い合わせたところ、録音テープでネットで問い合わせるように言われたのでネットで問い合わせたが連絡が来ない」

こうした相談事例が増加していることを受け、国民生活センターは「店舗型では消費者とクリーニング業者の衣類の受け渡しが同時に行われるが、ネット宅配型クリーニングでは事業者の確認体制が不十分なことにより、紛失のトラブルが起きている」と指摘。「まとめてクリーニングを依頼したところ、一部が戻ってこない」といったトラブルもあった。

また、衣類の種類にかかわらず「○○点で〇〇円」「1袋で○○円」といった価格設定の事業者もあるが、衣類の検品の際に一方的に種類、価格などを設定されてしまい、解約が困難といったケールや、クリーニング後にまだ汚れが残っていた場合、店舗であれば消費者が出向いて、実物を見せて交渉することができるが、ネット宅配型クリーニングでは事業者が遠隔地のケースも多く、直接出向いて消費者が交渉することが難しくなっているなど、インターネット通販ならではの相談が出てきている。

事業者に連絡しようとしたところ「メールで問い合わせてほしい」や「その後連絡が取れなくなった」などといった相談も寄せられており、事業者の苦情対応に問題がある事例が見受けられるという。

センターでは、消費者へのアドバイスとして「店舗型クリーニングとは違う部分があることを認識した上で利用するかどうか決める。利用する際には契約内容や事業者の連絡先、賠償基準の内容などを十分確認する。クリーニング方法やしみ抜きの箇所など詳細を整理し、できる限り事業者と情報共有しておく」などの対応策を示している。