ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

運輸業の賃上げ率が産業別トップに、TSR調査

2025年8月22日 (金)

調査・データ東京商工リサーチ(TSR)は22日、2025年度の「賃上げに関するアンケート」調査の結果を公表した。調査はインターネットにて行い、有効回答6823社を得た。

今年度、賃上げを実施したかを尋ねると「実施した」との回答は82%で、前年度から2.2ポイント低下した。4年連続で80%台を維持し高水準にはあるが、2年連続で賃上げ実施率が低下している。規模別の実施率は、大企業が92.6%(前年度94%)、中小企業が80.9%(同82.9%)で、大企業が中小企業を11.7ポイント上回った。大企業と中小企業の差が拡大し、過去最大の格差を更新した。

また、産業別の賃上げ実施率の最高は「運輸業」の89.6%だった。規模別では大企業が100%、中小企業が88.2%とそれぞれ10産業の中でトップ。さらに前年度と比較して実施率が0.7ポイント上昇した。一方、実施率の最低は不動産業の53.1%で、唯一の5割台だった。

賃上げを「実施した」と回答した企業に賃上げ項目を聞くと、最多は「定期昇給」の76.2%。次いで「ベースアップ」が59.6%、「賞与(一時金)の増額」が42.6%、「新卒者の初任給の増額」が25.6%、「再雇用者の賃金の増額」が13.7%と続いた。規模別では「新卒者の初任給の増額」が大企業の47.6%に対し、中小企業は23.1%にとどまった。また「ベースアップ」でも大企業が71.4%と7割を超えたのに対し中小企業は58.3%で、大企業を13.1ポイント下回った。各選択肢を産業別にみると、運輸業は「ベースアップ」(66.5%)と「賞与(一時金)の増額」(51%)で実施率がトップとなった。

賃上げを「実施した」と回答した企業へ賃上げ率を聞くと、最多は「5%以上6%未満」の24.6%だった。次いで「3%以上4%未満」の23.7%、「4%以上5%未満」の15.8%。賃上げ率「5%以上」は39.6%となり、前年度を3ポイント下回った。「5%以上」を規模別でみると、大企業が42.8%に対し中小企業は39.3%となり、大企業が3.5ポイント上回った。産業別では、運輸業は「5%以上」が30.9%と10産業中2番目に低かった。「5%以上」の割合が最も高かったのは、金融・保険業の52%、次いで不動産業が50%で続いた。

トランプ関税が今年度の賃上げに与える影響を聞くと、「ネガティブに影響することはない」が70.4%で最大だった。ことし6月の調査から7.6ポイント下落し、トランプ関税によって今年度の賃上げにネガティブな影響が出る企業の構成比が高まった。「賃上げに影響が出る」と回答した企業が回答した影響の内容は、最大が「賞与の増額を見送る、もしくは増額幅を縮小」の16.7%だった。次いで「ベースアップを見送る、もしくはアップ幅を縮小」が14.3%、「定期昇給を見送る、もしくは昇給幅を縮小」が10.9%となった。また来年度の賃上げに与える影響を聞くと「ネガティブに影響することはない」が62.6%で最多。今年度の賃上げに対する回答と比較して7.8ポイント低下し、トランプ関税によるマイナス影響の度合いによっては今後の賃上げに支障が出る企業が多くなると見られる。

■「より詳しい情報を知りたい」あるいは「続報を知りたい」場合、下の「もっと知りたい」ボタンを押してください。編集部にてボタンが押された数のみをカウントし、件数の多いものについてはさらに深掘り取材を実施したうえで、詳細記事の掲載を積極的に検討します。

※本記事の関連情報などをお持ちの場合、編集部直通の下記メールアドレスまでご一報いただければ幸いです。弊社では取材源の秘匿を徹底しています。

LOGISTICS TODAY編集部
メール:support@logi-today.com

LOGISTICS TODAYでは、メール会員向けに、朝刊(平日7時)・夕刊(16時)のニュースメールを配信しています。業界の最新動向に加え、物流に関わる方に役立つイベントや注目のサービス情報もお届けします。

ご登録は無料です。確かな情報を、日々の業務にぜひお役立てください。