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日本立地センター調べ、震災でメーカーの4割「生産拠点増やす」

2011年6月27日 (月)

話題日本立地センターは27日、全国の製造業5956社を対象に、東日本大震災や電力不足などによる生産機能への影響を調査し、結果を公表した。回答数は943社(回答率15.8%)。

 

調査結果によると、回答企業943社のうち「震災により被災した工場がある」とした企業は232社(24.6%)、「取引先が震災により影響を受けた」は271社(28.7%)「原子力発電事故により影響を受けた工場がある」は26社(2.8%)で、被災した工場は半数以上となった。

 

<サプライチェーンへの影響、4割が生産拠点を複数化>

サプライチェーン分野では、943社のうち「自社工場が被災したことにより調達・出荷に影響があった」とした企業が152社(16.1%)であるのに対し、「取引先工場が被災したことにより調達・出荷に影響があった」が632社(67.0%)、「物流が止まったことで調達・出荷に影響があった」も485社(51.4%)と多い。高速道路などの物流インフラの崩壊と復興支援のための通行規制などで輸送できない面もあったと思われる。

 

「工場の配置は見直さない」とした企業は842社と、89.3%を占めた。「工場の配置を見直す」は17社(1.8%)、「工場の配置を見直すことを検討する」は41社(4.3%)にとどまっている。ただし「工場配置を見直す」「検討する」企業58社への対応も必要であり、数字で評価できない面もある。

 

見直しをする58社は、「これまで1か所であったが、国内に複数の生産拠点を設ける予定」とした企業が23社(39.7%)、「これまでは国内だけだったが、今後は生産拠点を海外に設ける予定」は20社(34.5%)。海外への分散は、タイ3工場、アメリカ、中国が2工場、その他はイギリス、シンガポールなどで、「未定」とする工場が9工場あった。「国内生産を閉鎖して、海外に移転・移管する」企業はなかった。

 

「国内に複数の生産拠点を設ける予定」とした企業23社の生産拠点の開設方法・形態は、「既存工場に移管する」とした企業が11社(47.8%)と最も多く、「工場を新設する」8社、「関連会社に生産を委託(OEM)する」は7社だった。

 

部材・部品の調達先については、「調達先の見直しはしない」とした企業が522社(55.4%)と過半以上を占める。一方、「調達先を見直す」は61社(6.5%)、「調達先を見直すことを検討する」は287社(30.4%)あり、「工場の配置の見直し」を考える企業より多く、今後の検討によっては、東北地域から他地域への調達見直しが懸念される。

 

調達先は分散、海外調達も拡大傾向・見直し、検討する企業348社のうち「国内の調達先を1か所から複数にする」とした企業が161社(46.3%)、「国内の調達先を複数か所からさらに拡大する」も167社(48.0%)、国内で調達先を見直す動きが主流である。一方、「国内のみの調達であったが、今後は海外に広げる」が84社(24.1%)、「既に海外からの調達があったが、今後はさらに拡大する」も66社(19.0%)あり、海外からの調達もある程度拡大する。

 

<生産拠点の復旧状況、94%が再開>

震災・原発・取引先の被災工場の所在地をみると、「震災により被災した工場」は、福島県、宮城県が52社、茨城県が47社、岩手県が35社、栃木県が27社。「震災により影響を受けた取引先」は福島県が137社、宮城県が103社と多く、茨城県が64社、岩手県が52社と続く。「原子力発電事故により影響を受けた工場」は福島県が19社と73.1%を占めた。

 

震災・原発事故、取引先が被災した415社の工場の操業状況は、「全部が停止した」とする企業が170社(41.0%)、「一部が停止した」は151社(36.4%)。一方、「停止していない」は101社(24.3%)にとどまった。

 

全部または一部停止した303社のうち「現在地で生産再開する(再開予定を含む)」とした企業が278社(91.7%)で大半を占めた。「他の場所へ移転・移管して生産再開する」は23社(7.6%)と少なく、生産再開の移転・移管先は、福島県、埼玉県が2社ずつのほか、山形県、宮城県、新潟県など、東北、関東が多いが、北海道、愛知県、岡山県、香川県、宮崎県など全国に広がっていることが分かった。海外も2社あり、うち中国が1社だった。

 

生産再開(一部を含む)企業290社のうち、「すべての生産を再開した」とした企業が208社と71.7%を占め、「一部の生産を再開した」も67社(23.1%)ある。94.8%の工場が生産を再開しており、「再開できていない」は30社(10.3%)にとどまった。ただ、「生産再開どころかアンケート調査に回答すらできない企業もあると推測され、楽観はできない」と指摘している。

 

生産再開の時期は、「すべての生産を再開」「一部の生産を再開」ともにおよそ半数の企業が3月中に生産を再開している。また、「(再開できていない)再開の見込み」はすべて年内であり、夏から秋にかけてが多い。一方、再開の見込みが立っておらず未定とした企業も11社あった。

 

電力供給不足の影響は「影響はない」が520社(55.1%)と過半を占めるものの、「影響があった」も410社(43.5%)と、ほぼ拮抗。影響を受けた410社の影響内容をみると、「計画停電による影響」が302社(73.7%)と多く、「震災による停電の影響」は170社(41.5%)。生産拠点だけでなく、関東地方に立地する本社、営業所などが影響を受けたとみられる。