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TDB調べ、被害甚大地域に運輸・通信業244社

2011年7月11日 (月)

話題帝国データバンクは11日、岩手、宮城、福島3県沿岸部の「津波の被害が特に大きかった地域」と「原発事故による立入禁止区域・計画的避難区域」に本社のある5004社のうち、集計可能な4280社を主な対象に、震災後の活動状況、今後の事業継続方針について現地聞き取り調査を行い、結果を公表した。調査期間は6月6日-30日。

 

岩手、宮城、福島の企業数は5万9156社で、このうち沿岸部の市区町村には1万9855社存在する。同市区町村の中でも津波や原発被害が大きい「被害甚大地域」には、5004社が所在することが判明した。

 

被害甚大地域の5004社をみると、市区町村別では宮城県石巻市(989社)が最多で、仙台市宮城野区(381社)が続いた。業種別では建設、診療所、ガソリンスタンドなどが目立った。運輸・通信業は244社で4.9%を占める。

 

集計可能な4280社の震災後の活動状況をみると、「事業再開」が過半数を占めるも、「事業休止中」「実態判明せず」を合わせた実質営業不能状態の企業が地域全体の4割、2070社に上ることが分かった。

 

また、集計可能な4280社の今後の事業継続方針を確認したところ、「事業継続意向」が全体の55%。「未定・検討中」「廃業の予定」「調査不能」の合計は45%となり、1920社で継続の見通しが立たない実情が判明した。

 

帝国データバンクでは「津波や原発被害が大きい被害甚大地域の4割、2070社が営業不能状態という今回の調査結果からは、被災地企業の厳しい状況が浮かび上がる」と指摘。宮城県の建設業者は「自力再建できる企業はたくさんあると思うが、行政の対応が後手後手で足を引っ張っている」と話すなど、悲痛な現状を訴える声が多く聞かれたという。

 

沿岸部だけで、実質営業不能状態の企業が少なくとも2070社という数字は、現状判明している東北3県の関連倒産31社のおよそ70倍にのぼり、「倒産判明はあくまで氷山の一角」との従来からの指摘を裏付けるもの、と強調。

 

さらに「実質営業不能状態にある企業数はさらに増えるとみられ、今後、復旧・復興までの期間が長引くほど、これらの企業が先行き見通し難から事業継続を断念し、倒産手続きに移行する可能性は高く、関連倒産の件数が急増する可能性も十分にある」と分析した。

 

■調査結果の詳細(帝国データバンク)
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p110702.pdf