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TRW、複数軸向けアクセルセンサーを開発

2011年10月26日 (水)

荷主米国の自動車部品メーカー「TRWオートモーティブ・ホールディングス」は26日、衝突検知機能を向上させ、複数方向からの衝撃を同時に検出することを可能としたリモートアクセルセンサー(RAS)を発表した。

 

これまで、衝突検知に使用されていた加速度センサーは、車両正面への衝撃を検出する縦軸(X軸)か、側面の衝撃を検出する横軸(Y軸)のどちらか一方向の加速度データを計測するものだった。複数軸センサーの場合、同じハウジング内に複数の単一軸センサーを搭載するか、複数の場所にセンサーを搭載して各方向の加速度を同時に計測する。

 

TRWが開発した複数軸加速度センサーは、米国の側面衝突基準(FMVSS214)で新たに規定された側面斜めポール衝突に関するセンサー機能を大幅に向上させる。また、新車アセスメント(NCAP)や米国の道路安全保険協会(IIHS)の安全評価で、現在検討・提案されている正面のスモールオーバーラップ衝突やポール前面衝突などに関する衝突検知機能も飛躍的に高める。

 

2軸センサーをBピラーに搭載すると、新たに圧力や加速度サテライトセンサーをドア空洞部に追加しなくても衝突検知機能を高めることができ、米国の側面衝突基準(FMVSS214)、現在検討・提案されている正面スモールオーバーラップ衝突での安全基準にも対応できるとしている。

 

さらに、フロント2軸RASは正面斜め衝突、オフセット衝突時に側面カーテンエアバッグを展開するためのセンサー機能も高め、優れた乗員保護性能を実現する。

 

欧州では正面衝突センサーの設置が義務化されていないものの、正面衝突を検出できるよう、2軸RASをBピラーに搭載することもできる。車両の正面衝突に対する構造設計によっては、エアバッグ制御ユニットの縦軸加速度センサーのみで十分規制に準拠できる場合もあるが、より高いレベルの衝突検知機能が求められ、専用の正面衝突センサー、付随するワイヤリングが必要な車両もあり、規制への対応によって車両の重量やコストが大幅に増加することになる。

 

このような場合、2軸側面衝突センサーをBピラーに搭載することで、車両前部にセンサーを追加する必要がなくなり、欧州の安全基準を十分満たすレベルに衝突検出性能を強化することが可能。

 

また、乗用車に複数軸センサーを搭載した場合、ロールオーバーセンサーとしても重要な機能を発揮する。側面衝突(Y軸)センサーによる垂直方向(Z軸)の加速度の計測で、横方向と垂直方向の加速度データを分析し、乗用車のロールオーバーを予測することが可能となる。また、専用のロールジャイロが不要であることから、コスト削減にもつながるとしている。TRWの2軸・複数軸センサー技術は、2012年に生産されるモデルから搭載される。