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賃貸倉庫の自動化”限界”なくせ、八千代2が突破口

2026年1月29日 (木)

ロジスティクス物流業界において「自動化」は、もはや選択肢の一つではなく、事業継続のための必須条件となりつつある。慢性的な人手不足と労働時間の制約、そしてEC需要の拡大により多頻度・小口配送が加速している。これらの課題を乗り越えるためには、ロボットやマテハン機器を駆使した効率的なオペレーションが不可欠だ。

しかし、ここで多くの企業が突き当たる「壁」がある。それが賃貸倉庫特有の「標準仕様の制約」と「原状回復義務」だ。拠点の集約・移転先として条件が整うマルチテナント型物流施設を利用したいが、マテハン機器の設置工事や原状回復のコストが嵩む、柱や筋交いが制約になり効率的なロボット走行ルートが作れない──。こうした悩みに、デベロッパーの立場から限界まで、いや限界を超えて寄り添い、「ロボットフレンドリー」という新たな解を提示するのが、千葉県八千代市で稼働中の「プロロジスパーク八千代2」だ。

建物自体をカスタマーの自動化戦略に合わせて作り変えるという、従来の賃貸倉庫の常識を覆す取り組み。そして、その先鋭的な運用を支える、物流適地としての確かな素地。その全貌と、2月に行われる注目の内覧会情報をお届けする。

▲2025年4月、千葉県八千代市に誕生した「プロロジスパーク八千代2」

ロボットが「走りやすい」基礎体力

プロロジスが掲げる「ロボットフレンドリー」は、まず建物の基本スペックに如実に表れている。「プロロジスパーク八千代2」は、ロボットやマテハン機器のポテンシャルを最大限に引き出すため、設計段階から細心の配慮がなされている。

▲ノンフブレース構造でレイアウトの自由度が高い倉庫区画

まず注目すべきは、「ノンブレース構造(ブレースレス)」の採用だ。一般的な倉庫に見られる筋交い(ブレース)をなくすことで、倉庫空間を有効に使えるだけでなく、ロボットの走行ルートやマテハン機器のレイアウトに対する制約を大きく排除した。これにより、AMR(自律走行搬送ロボット)やAGV(無人搬送車)がストレスなく走り回れる広大な空間を実現している。

さらに、荷崩れを防ぐための「免震構造」も標準装備されている。地震による揺れを軽減し、荷崩れによる稼働停止や、自動化機器の破損リスクを最小限に抑えることは、BCP(事業継続計画)の観点からも極めて重要だ。また、大量のロボット充電や大型マテハンの稼働を見越し、「特別高圧電力」の受電体制も整えている。将来的な自動化の拡張にも余裕を持って対応できる、まさに「ロボットのためのインフラ」と言えるだろう。

▲「積層ゴム支承」と「オイルダンパー」を組み合わせた免震システムを採用し、従業員の生命、荷物、設備、建物を守る

コンサルティング担当者が語る「従来の枠を超えた支援」

こうした基礎体力の高さに加え、「プロロジスパーク八千代2」では、入居企業個別の要望に対する踏み込み方も従来と一線を画している。その象徴が、「高効率ケース縦搬送システム」の導入プロジェクトだ。

▲「高効率ケース縦搬送システム」のイメージ

通常、ECをはじめとする少量多品種オペレーションの自動化を複数階にまたがって実行するには、縦搬送の課題をクリアしなければならない。賃貸倉庫に設置されている貨物用エレベーターやパレット搬送機では十分な搬送能力を確保しきれず、新たに垂直搬送機や傾斜コンベアを導入しようにも「多額の設備投資」と「原状回復義務」という高い壁が立ちはだかる。特に、すでに竣工している施設において、入居企業の要望で床に穴を開ける工事を行うことは、通常の賃貸借契約では極めてハードルが高い。

この課題に対し、プロロジスで物流コンサルティングチームのディレクターを務める本庄哲太氏は、こう振り返る。

「通常の賃貸倉庫では、垂直搬送機器の追加設置は入居企業の資産区分(B工事またはC工事)となり、退去時には原状回復、つまり穴を塞いで戻さなければなりません。これが効率化に向けた投資判断の大きな足かせになっていました。だからこそ八千代2では、床の開口と搬送機の設置を『プロロジスの設備投資』として実施する決断をしました。汎用性を第一に考える賃貸型物流施設で、特定オペレーション向けに設備投資を行うことは、デベロッパーとして非常に大きい決断ですが、お客様の生産性とEC市場の成長を考えればやるべきだと判断しました」

▲プロロジス物流コンサルティングチームディレクターの本庄哲太氏

「さらに我々の支援は、ハード面だけではありません。プロロジスパーク八千代1から八千代2に拡張移転されたSTOCKCREW様とはコンソーシアム(共同事業体)を組み、自動化機器導入のための補助金申請なども含めて、事業パートナーとして伴走しています。『場所を貸す』だけでなく、『自動化を実現する環境と体制ごと提供する』。ここまで踏み込んで初めて、本当の意味での『ロボットフレンドリー』と言えると考えています」

▲ロボットフレンドリーを体現する仕掛け

プロロジスパーク八千代2では、追加工事による「高効率ケース縦搬送システム」だけでなく、貨物用エレベーターを複数メーカーの自動フォークリフトやAMRなどと自動連携するための仕組みも施設側で用意した。

「賃貸だからできない」を「賃貸だけどやる」に変える。これまで数多くのテナント企業に提供してきたオペレーションコンサルティングの知見をもとに建物の構造自体を入居者に合わせてカスタマイズし、さらに補助金申請まで伴走する。この本庄氏の言葉通り、従来の不動産デベロッパーの枠を超えた取り組みこそが、プロロジスの強みだ。

ロボットがビルトインされた区画の設置

プロロジスパーク八千代2のロボットフレンドリーはこれだけではない。新たな試みの一つが、ロボットをあらかじめ設置する取り組みだ。物流現場で最も過酷な作業の一つであるコンテナからの荷降ろし(デバンニング)。八千代2では、この課題に対し、XYZ Robotics社の最新デバンニングロボット「RockyOne」(ロッキーワン)を施設内に用意し、入居企業が利用できる環境を整えた。

▲XYZ Robotics社の最新デバンニングロボット「RockyOne」

通常、導入費用が高額になりやすいハイスペックロボットは、中小企業や、荷主との契約期間が決まっている3PL事業者にとって導入のハードルが高い。この点について、プロロジスの本庄氏は、導入の狙いを次のように語る。

「お客様とお話ししていると、『自動化したいけれど、昨今ロボットが増えていてどのソリューションが自社に合うか自信がない』『投資回収のハードルが高く自動化が進んでいないが、今のままでは現場も高齢化して将来が不安』という声を本当によく聞きます。それなら、我々が導入のハードルをなくし『すぐ使える環境』を用意しようと。RockyOneは移動式で、必要な場所に持って行ってすぐに使えます。まずは八千代2で実際に触って、使ってみて、その効果を実感していただく。そうやって自動化の第一歩を踏み出すための『実験場』として、この施設を使ってほしいんです」

まずは使ってみて、効果を実感してほしい。ロボット導入の敷居を下げ、入居企業の自動化に向けた一歩を後押しする。本庄氏の言葉からは、単なるスペース貸しではなく、入居企業の成長を支えるパートナーとしての姿勢が垣間見える。

▲「RockyOne」の稼働イメージ。施設内覧会などで見学できる

自動化の聖地「プロロジスパーク八千代」の実績

こうしたプロロジスのコンセプトが机上の空論ではないことは、隣接する「プロロジスパーク八千代1」の実績が証明している。先述のSTOCKCREWは、AMRを駆使した高効率なピッキングシステムを構築。また、大手コンテンツ販売事業者は自動倉庫「AutoStore」(オートストア)を導入して多品種少量の商品管理を最適化し、大手食品卸売企業グループは自動フォークリフトによる無人化搬送を実現している。業種も商材も異なる企業が、それぞれの最適解となる「自動化」をこの地で実現しているのだ。

▲STOCKCREWは「八千代1」でシリウスジャパンのAMRを80台導入し、高効率なEC倉庫を構築した

盤石な基礎体力がロボットを活かす

ここまで「ロボットフレンドリー」という尖ったコンセプトについて詳述してきた。しかし、いかに庫内が高度に自動化されようとも、物流拠点はそれだけでは成立しない。ロボットが高速で処理した荷物を、遅滞なく消費地へ届けるための「輸配送インフラ」。そして、高度化するシステムを管理し、ロボットでは補えない付加価値作業を担う「人の手」。この2つの土台があって初めて、ロボットフレンドリーという上部構造が機能する。その点において、プロロジスパーク八千代2は、自動化拠点として理想的な「基礎体力」を備えている。

第一に、ロボットの処理能力を無駄にしない「輸配送の効率性」だ。施設は国道16号から2キロという至近距離に位置し、東関東自動車道「千葉北IC」へのアクセスも良好だ。都心から30キロ圏内という立地は、首都圏消費地への多頻度配送はもちろん、関東全域への広域配送拠点としても機能する。庫内で秒単位のピッキング効率を追求しても、配送で時間がかかっては意味がない。八千代2の立地は、自動化によって生まれたタイムメリットを、そのまま配送品質へと転換できる「物流の要衝」にある。

▲プロロジスパーク八千代1・2の周辺広域図(クリックで拡大)

第二に、システムを動かす「質の高い労働力」の確保だ。「自動化すれば人は要らない」というのは誤解だ。むしろ、ロボットを運用するオペレーターや、イレギュラー対応を行うスタッフには、より高い質と定着率が求められる。八千代市は都心のベッドタウンとして人口が増え続けているエリアであり、周辺には住宅地が広がる。湾岸エリアのように競合施設が過密していないため、労働力の奪い合いが起きにくく、「募集をかけると想定以上の応募が集まる」「一度採用すると長く働いてくれる」という入居企業の声も多い。

さらに、最寄り駅(京成・東葉勝田台駅)からは施設専用のシャトルバスを運行し、デザイン性の高いカフェテリアやドライバー休憩室も完備している。「人が集まり、定着する場所」だからこそ、高額な自動化投資も安心して行える。こうした就労環境の充実があるからこそ、プロロジスの提案するロボット戦略は絵に描いた餅にならず、実利を生むのだ。

2月5日・6日、未来の物流を目撃せよ

ここまで「ロボットフレンドリー」の全貌と、それを支える基礎体力を説明してきたが、その真価は実際に現地を見なければ伝わらない。ノンブレス構造が生み出す開放的な空間、縦搬送システムのために開けられたフロア、そして稼働を待つデバンニングロボット。これらを肌で感じることができる「現地内覧会」が、2月5日・6日に開催される。その後も、毎週水曜日の午後に体験会を実施予定するという。

今回の内覧会では、記事中で紹介したXYZ Roboticsのデバンニングロボット「RockyOne」の実機デモンストレーションも行われる予定だ。「自動化に興味はあるが、建物の制約で諦めていた」「今の倉庫では設備の導入に限界を感じている」。そう感じる物流担当者、経営者こそ、ぜひ足を運んでほしい。プロロジスが用意した「環境」が、あなたの会社の物流を次のステージへと押し上げるはずだ。

「プロロジスパーク八千代2」現地内覧会の開催概要
日時:2026年2月5日・6日 ①11:00~ ②14:00~(各60分/各日2回、計4回)
対象:荷主企業、物流企業
詳細・申込:https://www.prologis.co.jp/news-research/press-releases/260120