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富士通のICタグ活用しIoT化

TOTO、ベトナム工場で生産・品質状況見える化

2016年7月21日 (木)

サービス・商品TOTO、ベトナム工場で生産・品質状況見える化富士通は20日、グループ会社の富士通システムズ・イーストがTOTOベトナムの工場で生産する衛生陶器の生産効率を向上させるため、原料と紐づけて全工程の生産状況や品質情報を可視化するシステムを開発、TOTOベトナムの第一工場で7月1日に稼働したと発表した。

このシステムでは、素材調合や収縮率の調整など繊細な作業が必要とされる衛生陶器の製造現場で、ICタグを活用して仕掛品の進捗・品質情報だけでなく、作業手順など熟練工のノウハウを含む「あらゆる情報」を収集し、デジタル化する。

また、作業員が検査情報を入力するタブレットは、わかりやすい図面表示やタッチ入力機能など操作性を重視した独自開発のアプリケーションを搭載。モノや人が生み出した情報を効果的に活用するIoTを導入したことで、データ化が難しかった熟練工のノウハウの可視化や統計的なデータの活用による分析が可能になったことから、高品質な製品の安定的な生産につなげる。

TOTO、ベトナム工場で生産・品質状況見える化

ベトナムではトイレ不足や、衛生上の問題を抱えており、国民の生活が集中する都市部ではインフラが段階的に整備されつつあるものの、下水道やトイレ事情は、4割の家庭が簡易便器で、水洗便器の全国普及率は2割に満たない。

雨期には簡易便器などから流れ出した汚水が感染症や下痢を蔓延させ、免疫力の弱い子供や高齢者を危機にさらしているという。

そこで、TOTOはグローバルサプライチェーンの軸となるベトナム工場で、製造現場の改善と衛生陶器の品質向上を図るとともに、熟練の技や高度な技術を持つ作業員を育成するため、富士通システムズ・イーストとともに、製造現場を革新する取り組みに2015年9月から着手した。

ハノイのタンロン工業団地にあるTOTOベトナムの工場で稼働したシステムは、高品質な衛生陶器の安定した生産を実現するために、全製造工程の生産状況と品質情報を収集、活用する。

仕掛品や各種設備に貼られたICタグやバーコードを通じ、原材料の調合から検査にまでの全工程の品質や進捗情報、原料調合時の湿度や温度、衛生陶器に吹き付ける釉薬の種類など、あらゆる実績情報を収集することで、製品一つ一つのトレーサビリティをリアルタイムに把握することが可能となった。

これにより、製品出荷後も製造時の品質情報を把握できることで、問い合わせにも素早く対応できる体制が強化された。

TOTOベトナムではこのシステムを導入することで、熟練工の作業手順や検査結果、指摘内容などのこれまで可視化されていなかった情報を共有し、作業者同士の意見交換やコミュニケーションの活性化を図った。ベトナム現地社員自らが現場改善を行う積極的な活動を促し、人材育成につなげていくことを目指している。