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日本のハイテク企業、5年以内に国内調達半減

2012年1月6日 (金)

話題UPSは6日、アジア太平洋地域のハイテク業界を対象としたサプライチェーンの変革に関する動向調査「チェーンの変化」の結果を発表した。日本のハイテク企業の調達先が今後、国内から東南アジアをはじめとするアジアの諸外国へ急速に移行していく動向が明らかになった。

 

さらに日本のハイテク企業のサプライチェーンでは、「コスト」「セキュリティ・リスク」の影響が最も大きく、他のアジア諸国に比べて高コストなビジネス環境と、震災を経験した日本企業が持つ高い危機感を反映した結果となった。

 

調査対象の日本企業によると、国内調達は現在の96%から3-5年後には53%と半分近くに減る一方で、タイ、マレーシア、香港、シンガポールなどのアジア成熟国からの調達は現在の9%から24%と3倍近く増加するという回答が寄せられた。

 

またアジア全体でも同様に、日本からの調達が減少する一方、アジア成熟国、さらにフィリピン、ベトナムを含むアジア新興国からの調達が増えると見込まれている。

 

過去2年間のサプライチェーンに関する最優先事項として、アジアのハイテク企業の約半数が「サプライチェーンの総コスト削減」を挙げており、ほかの項目を大きく引き離している。

 

中でも日本企業のコスト意識は高く、最優先事項に挙げた企業が68.9%と、アジア平均を大きく上回っており、アジア諸国の中でも特に高コストな日本のビジネス環境で企業が直面する厳しいプレッシャーがうかがえる結果となった。また、今後のサプライチェーンに影響を与える要因としても、コストは最重要項目のひとつとして位置づけられている。

 

コストと並び、今後サプライチェーンに最も影響を与える要因として日本のハイテク企業が挙げているのが「セキュリティ・リスク」。日本企業の20%が第1要因として挙げており、第2、第3要因として挙げている割合を含めると、比率は実に60%に上る。アジア全体で同項目が選ばれる比率は、第1要因として6.9%、第2、第3要因を含めても31.5%にとどまっており、被災地である日本との意識格差が顕著となっている。

 

また現在のサプライチェーンの課題としても「リスク管理・セキュリティ」が最も多くの票を集めた。これは日本とアジア全体共通の結果で、その他の項目で日本がアジア平均を大きく下回っているのに対し、「リスク管理・セキュリティ」のみアジア平均を約5ポイント上回っており、日本のハイテク企業の危機感が特に高いことが分かった。

 

調査はUPSの依頼により、IDCマニュファクチャリング・インサイツが実施した。調査対象は、アジア太平洋地域9か国の従業員250人以上を持つハイテク企業248社で、対象業種は電子部品、産業用電子機器、家電製品、半導体、通信機器、コンピュータ、オフィス機器、光通信機器、防衛電子機器など。