ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

インプレス、書籍小ロット重版システムで在庫99%減

2016年12月8日 (木)
インプレス、書籍小ロット重版システムで在庫99%減
空白

荷主出版社にとって、売上好調書籍を重版して販売することは利益の源泉となる一方で、長期にわたり少量ずつ売上を見込む書籍は、適正な原価率で重版するために1年以上の販売見込み数を製造し在庫を持つ必要がある。

この仕組みでは一度の重版で1000冊以上を印刷するため、重版時の市場予測と実際の市場状況が異なった場合、過剰在庫を持つリスクを伴うという問題があった。

こうした問題に対応する新たな仕組みとして、インプレスグループでIT関連メディア事業を展開するインプレスは8日、インプレスR&D、京葉流通倉庫と提携し、既刊書籍の在庫を小ロットで自動補充するシステムショートラン重版自動生産システムの運用を実現した、と発表した。

従来のオフセット印刷では、売り上げの状況によっては1年以上の販売見込み数を製造し在庫することになり、過剰在庫を持つリスクを伴ったが、インプレスR&Dとともに提携する京葉流通倉庫所有のデジタル印刷を利用し、小ロットで重版を開始し、過剰在庫のリスクを解消。しかし、100部、200部といった小ロットでの重版判断を従来のワークフローで実施することで事務工数が増大することが新たな課題となった。

デジタル印刷による1-3か月分の販売見込み数の製造で、過剰在庫リスクは軽減し、必要在庫数を10分の1に圧縮できたが、事務工数は増大。そこで実現したのがショートラン重版自動生産システムだ。

このシステムは、在庫が一定数を下回ると自動的にデジタル印刷により小ロットで印刷が行われ、在庫を補充することができる。例えば、出荷後の在庫数が5冊を下回った場合、在庫数を10冊まで回復するようにデジタル印刷による印刷が自動的に行われ、在庫が補充されるという。

倉庫の在庫数管理と、デジタル印刷による印刷数管理、印刷、倉庫への補充は京葉流通倉庫が担い、インプレスから見ると「自動化」が図られたことで、事務工数の大幅な削減が実現した。

これらの取り組みと新システムの実現により、書籍の在庫補充は10冊以下で可能となり、必要在庫数も数十冊と従来比100分の1で在庫を管理できるようになった。

このシステムは在庫がある一定数を下回ったら、倉庫が判断して自動的に印刷し補充する仕組みで、必要在庫数はさらに10分の1に圧縮。過剰在庫のリスクなく事務工数も軽減した。また、従来のオフセット印刷の仕組みでは採算が取れないために重版できず、書籍が市場に出る機会を失ってしまう課題に対しても、小ロット生産によって少ない冊数でも採算を保ちながら、書籍を必要とする読者に届けることができるようになる。

同社は8月からこのシステムの運用を開始し、4か月間順調に運用できたことから発表に至った。現時点の対象書籍は25タイトルだが、今後は積極的に対象タイトルを増やしていく考えで、京葉流通倉庫とインプレスR&Dでは、京葉流通倉庫の顧客出版社に対するシステムのノウハウ提供も検討している。