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年末繁忙期目前、宅配各社に受託抑制の動き

2017年11月21日 (火)

話題アマゾンジャパンがことしも「サイバーマンデーセール」を12月8日から11日まで78時間にわたって行う、と宣言した21日、主要な宅配各社が法人向けに、宅配の受託抑制に関する声明を発表した。EC市場の拡大が現在の「宅配危機」につながる状況の中、年末繁忙期への警戒感が表面化したものといえそうだ。

ヤマト運輸は、同社との契約のない新規顧客が12月中に当日出荷分として20個以上を発送しようとする場合、「あらかじめ出荷日の1週間前まで」に同社担当窓口へ問い合わせるよう求めたほか、既存顧客に対しても12月の出荷数量が「通常期と比べ著しく増加」する場合、事前連絡するよう要請。それでも状況によっては「当日出荷の希望に沿えず、出荷日等の調整をさせていただく」ケースもあり得るとした。

また、宅配2位の佐川急便は取り扱う荷物の個数が大幅に増えることで「集荷業務の一部に支障をきたす」ケースを想定し、対策を検討した結果、12月1日から29日まで、電話やウェブを通じた集荷の受付を「前日までの予約制」に変更すると発表した。

12月13日には親会社・SGホールディングスの東証上場が控えていることもあり、例年以上の「安全運転」を徹底し、社員の労働環境の改善に取り組むとともに、業務上のトラブルをできる限り抑制する姿勢を示したものといえる。

一方、3番手となる日本郵便はヤマト・佐川のような抑制策を打ち出しておらず、「今のところ、引き受けを控える予定はない」とコメント。来年3月に「ゆうパック」を値上げする予定はあるものの、年末繁忙期に特段の対策を講じる気配はない。

都心部を中心に自転車による配送を手がけるエコ配は「取扱個数の増加に伴う環境変化」を理由として、すでに11月1日から新規登録顧客からの荷物を対象に「受託制限」に入っており、12月末まで続けるという。

また、企業間の荷物配送を中心としながら、大手通販サイトの配送を担う部門も運営しているSBS即配サポートでは、「需要に合わせた体制整備に取り組んできた」と、従来から波動を想定した運用に配慮してきたことを強調した上で、「12月の輸送繁忙期に入っても受託抑制策を講じる必要はない」との考えを示す。

各社の対応が分かれた形だが、上位2社が懸念と事前の抑制策を打ち出した意味は小さくなく、配送委託先の確保が課題となっているEC事業者などにとっては、書き入れ時でありながらも、自社商品の売れ行きを慎重ににらみながらの対応と、余裕を持った売上・出荷予測を両立させるというスタンスが求められることとなりそうだ。