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JRCSと日本MS、AI・MR用い海運業の働き方改革

2018年4月6日 (金)

ロジスティクス船舶向けの計装システムや動力システムを開発するJRCS(山口県下関市)は6日、日本マイクロソフトと連携し、AIやMRを活用した、海運・海洋産業の働き方改革を推進するプロジェクト「JRCS Digital Innovation LAB」を開始すると発表した。

JRCSは、日本マイクロソフトと連携して、MRを実現する「Microsoft HoloLens」や、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」のAIサービスなどを活用した、海洋事業者向け遠隔トレーニングや遠隔メンテナンスソリューションの実用化に向けて検証を進めていくほか、将来的な船舶の自動航行までを見据えた、新しいデジタルプラットフォームの確立に取り組む。JRCSではプロジェクトの推進に向けて、1日に「デジタルイノベーション推進室」を設立した。

日本マイクロソフトが2017年1月から国内の法人と開発者向けに提供しているHoloLensは、目の前の現実世界の中に、3Dの仮想物体であるホログラフィックを重ねて表示させることで、現実世界と仮想世界を複合させて、それぞれの長所を活かしたMRを実現する新しいデバイス。

バーチャルリアリティ(VR)デバイスと異なり、現実世界が見えている状態のまま、ホログラフィックも見えて操作でき、音声やビデオを使って遠隔地の同僚と、同じ複合現実の世界を共有しながらオンライン会議もできることから、JRCSでは、HoloLensを活用することで、「海運・海洋産業のさまざまな課題の解消や軽減を実現できる」と考えた。

マイクロソフトがグローバルで提供する HoloLensの開発プログラムを米マイクロソフトコーポレーションと締結することで、マイクロソフト、日本マイクロソフトのデジタルアドバイザリサービスを活用してコンセプトモデルを開発してきた。

JRCSは、海洋事業者向け遠隔トレーニングソリューション「INFINITY Training」、海洋事業者向け遠隔メンテナンスソリューション「INFINITY Assist」、将来的な船舶の自動航行まで見据えた”陸上での”操船ソリューション「INFINITY Command」の3つのコンセプトモデルの開発を進めており、今後の実用化を目指すとともにさまざまな活用方法を検討している。

遠隔トレーニングソリューションは、MRを用いた空間共有や制御システムなどの実製品とデジタルコンテンツの融合、さらに翻訳機能も活用することで、さまざまな場所にいる船員が、「いつでも、どこにいても、言語・時間・距離の壁」を越えて機器やシステムの操作などのトレーニングに参加できるようにする。19年3月からサービスを開始する。

遠隔メンテナンスソリューションは、船舶の安全航行を実現するため、MRやIoT、AIなどを活用し、船員の負担やケガ、人的ミスを軽減するもので、船舶の特殊事情まで熟知した経験豊かなエンジニアのスキルをよりすばやく展開できるようにする。

エンジニアが船舶のメンテナンスを行う際にこの製品を装着すると、機器の上に作業手順などが表示され、より安全に短時間で作業できるようになる。JRCS製高圧配電盤のメンテナンスアプリケーションを19年内に商品化し、20年から段階的にコンテンツの拡大を図る。

操船ソリューションは、IoT、AIなどの技術とビッグデータを活用することで、船舶操船を担うキャプテンが、近い将来、デジタルキャプテンとして陸上から複数の船舶をコントロールする世界を想定し、日本マイクロソフトと検証を進めていく。デジタルキャプテンは、HoloLensを通じて、遠隔地にいる他のデジタルキャプテンと3D海図を共有しながら、航路、天候、海底地形などの情報をAIも活用しながら確認し、船舶の安全、海上輸送の正確性、効率性を確保できる。30年に開始できるようプロジェクトを進めていく。

■コンセプト紹介

■インタビュー