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売上高物流費比率0.33Pダウン、JILS物流コスト調査報告書

荷主企業、好業績背景に物流費上昇分吸収か

2018年4月9日 (月)

話題日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は6日、2017年度に行った物流コスト調査の報告書を公表した。売上高に占める物流コストの割合は全業種平均で4.66%となった。人手不足から大幅に物流コスト比率が高まった前年度から一転し、好調な業績を追い風に、物流コストの上昇分を吸収する姿が浮かんできた。

16年度調査では対前年度比0.34ポイント増の4.97%と、人手不足を背景に物流コストが企業財務を圧迫する状況が反映されたが、17年度調査では16年度比0.33Pダウン、15年度比0.03Pアップとなり、急上昇した16年度から緩やかな低下傾向を示す15年度以前の基調に戻ったようにみえる。

この結果に、JILSは「回答企業の売上高が、売上高物流コスト比率に与える影響も無視できない。企業の業績改善により、物流コストの伸び以上に売上高が拡大し、結果として今年度(17年度)調査における売上高物流コスト比率の低下につながった可能性もある」と分析し、業績改善の追い風を背に受け、物流コストの上昇を売上の伸びが上回ったとの見方を示した。

物流コストの内訳(全業種)は輸送費が55.4%、保管費が16.6%、包装・荷役・物流管理費をまとめた「その他」が28%の構成となった。輸送費は製造業59.9%、卸売業41.2%、小売業48.5%と、特に製造業で大きい。

物流コストの支払い形態別構成比(全業種)は、物流費から「自家物流費」を除く支払い物流費の割合が83.5%と最も大きく、その内訳は「物流専業者に対する支払い物流費」などが73.2%、物流子会社に対する支払い物流費が10.3%、自家物流費が16.5%となった。

業種別では、小売業で物流専業者への支払い物流費が82.7%、自家物流費が16.8%、物流子会社への支払い物流費が0.5%と物流専業者への支払いが8割を超えているのに対し、製造業では物流子会社への支払い物流費の比率が12.7%と大きい。

また、2年連続で回答した企業を対象とした、売上高物流コスト比率の「推移」を調べた項目では、「物流コスト比率が上昇した企業」が98社(58.3%)、低下した企業は70社(41.7%)だった。

過去1年程度の間に取り組んだ物流コスト削減策として、最も多く実施されたコスト削減策は「在庫削減」で、16年度調査以前には毎年50社以上が実施した削減策としてあげていた「アウトソーシング料金見直し」はわずか38社まで減少した。

この結果に、JILSは「物流事業者との価格交渉に代わって、物流現場でのオペレーションの改善、物流ネットワークの見直し、取引先と調整による輸送ロット・頻度を見直すことなど、ロジスティクスの見地から輸送・物流コストの削減策を検討する企業が増えていると思われる」と分析した。