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国主導で農産物一貫パレ運営組織、3省庁がプラン策定

2018年6月13日 (水)

ロジスティクス農産品物流の効率化に取り組む農産品物流対策関係省庁連絡会議(農林水産省、経済産業省、国土交通省で構成)はこのほど、農産物の一貫パレチゼーションを実現するための方策として、統一規格のRFID付きパレットを共同利用・管理する循環利用モデルと運営体制の構築を柱としたパレット部会の報告書をまとめた。

トラック業界の働き方改革などで農産物のパレット輸送による負荷軽減が求められる中、卸売市場を経由する農産品は複数の事業者が介在し、紛失が起こりやすく、一貫パレチゼーションが難しいとされていた。

このため、連絡会議は2015年11月にパレット部会を設置し、関係事業者などへの個別ヒアリングを経て農産物の一貫パレチゼーション実現に向けた方策を検討。この結果、「統一規格のRFID付きパレットを共同利用・管理する循環利用 モデルを作り、適切な運営体制を構築する」ことで、「パレットの紛失防止と持続可能な利用が可能になる案」を策定した。

具体的には、パレットの共同利用・管理による循環利用モデルの対象範囲を「産地から卸売、小売または実需(製造、外食など)まで」とし、モデルで使用するパレットの統一規格をRFID付きT11型プラスチックパレットに定める。

利用から回収、再利用までは、(1)発荷主(産地、卸売)がレンタルし、パレットで出荷(2)物流業者が荷とともに運び、着荷主に引き渡し(3)着荷主(卸売、小売、実需)が保管・返却(4)回収業者が一括回収し、レンタル業者が発荷主へ再びレンタルーーの流れを想定する。

(出所:農産品物流対策関係省庁連絡会議パレット部会報告書)

パレット管理と紛失を防止するため、出荷から流通段階ごとのパレット移動情報をRFIDで把握・管理し、そのパレットの使用は今後設立する「農産物パレット推進協議会」の会員間のみに限定する。非会員への転送・販売は卸売が別パレットに積み替えて行うこととする。

協議会の理事会は産地、卸、小売、物流の全国団体で構成し、関係業界からの出向者で事務局を組織。事務局が協議会とパレット事業の料金収受、業務発注といった業務を担う。実際の事業は協議会がレンタル業者、回収業者などへ業務委託することを想定する。

正会員は発荷主(生産者団体・法人、卸売業者、仲卸業者)とし、物流業者、着荷主(小売業者、実需者)は賛助会員としてパレットの輸送、RFID読取り、保管・返却への協力といった役割を担う。また農林水産省、経済産業省、国土交通省がオブザーバーとなり、事業支援、関係業界の指導、調整に当たる。

まずは遠隔地などで統一規格のパレットの使用が可能な産地から開始し、全国の産地、卸売市場をカバーする全国的な取り組みへと拡大を図る。出荷先の市場や販売先がほぼ特定される品目からモデル実証を行い、賛助会員の拡大に合わせて対象品目、産地を段階的に広げる。会員の拡大、回収率の向上に伴い、利用料を引き下げる。