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ヤマト、引越過大請求で報告書「根本原因は商品設計」

2018年8月31日 (金)

▲謝罪するヤマトHDの山内雅喜社長(中央)ら

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話題法人向け引越で代金の過大請求が明らかになった問題を受け、ヤマトホールディングスの山内雅喜社長とヤマトホームコンビニエンスの和田誠社長は8月31日、記者会見を開き、調査委員会による調査結果と再発防止策を発表した。

山内社長は過大請求が行われた原因として「経営層からの指示」は否定したものの、「会社の体制や内部通報制度、内部監査の運用などに重大な不備があった」と、一部はこれらの不備を利用した「悪意で上乗せした見積もりがあった」ことを明かした。

また、第一線の社員の意見が十分反映されず、商品設計などが適切だったのかを確かめる点で不備があったとし「大変、恥ずべき事態だ」と話し、法人向け商品設計を見直す考えを示した。調査委員会の河合健司委員長(弁護士)は、過大請求が発生した「根本的な原因」が商品設計にあると指摘した。

調査結果によると、「不適切な請求」は2016年5月1日から18年6月30日までに2年2か月の間に4万8000件あり、その総額は17億円に上った。このうち16%が「悪意で上乗せした見積もり」に該当していたという。特に四国統括支店では、組織的に過大請求されていた事例があったことがわかった。

山内氏は「不適切請求の一部に組織的な不正と認められるものがあった。四国の統括支店長ら複数の役職者が不適切請求を黙認し、一部の支店長は自ら指示していた。到底許されるものではない」と述べ、改めて不適切請求の対象となった顧客に全額返金する方針を示した。

調査結果を受け、山内氏は再発防止策として、9月1日付でヤマトホームコンビニエンスの引越商品の再設計、ガバナンス強化、コンプライアンス体制の構築・運営、倫理教育など「抜本的対策防止策」を実行・統括する責任者として、ヤマトHDの神田晴夫副社長をヤマトホームコンビニエンス取締役会長に兼務として配置する、と表明。

このほかヤマトホームコンビニエンス本社に引越商品の開発、運用実態の管理、それに応じた商品の見直し権限を備える引越専任部署として「引越サービス部」を設置し「分かりやすい引越商品」の再設計、法人の顧客との契約体系の再設計に取り組む。また教育責任部署、営業統括部署を新設し、社員の処遇、業績評価方法、文書保存基準、データ保管基準、内部通報制度、監査の運用――を見直す。

さらに、ヤマトグループ全体のガバナンスを強化するため、9月1日付けでヤマトHDに社長直轄の「グループガバナンス改革室」を設置。調査委員会の提言を受け「グループの商品、サービス、機能、制度、監査項目の総点検と、内部通報に対する対応手順、処理方法、重大性判断基準など、必要な改革案の策定、実行、モニタリング、分析総合的な仕組みの構築と徹底を図る」とした。

■報告書全文
http://www.yamato-hd.co.jp/news/pdf/h30_40_01news.pdf

▲調査結果を受けて記者会見するヤマトHD山内社長(中央)ら