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バヌアツでドローンによるワクチン輸送

2018年12月19日 (水)

話題日本ユニセフ協会は19日、南太平洋の島国・バヌアツで、遠隔地のエロマンゴ島に暮らす子供へのワクチンを民間のドローンで輸送したと発表した。

ワクチンの輸送範囲は、島の西部ディロンズベイの険しい山岳地帯から東部の遠隔地クックスベイまで40キロにわたり、13人の子供と5人の妊婦が公認看護師によってワクチンの接種を受けた。クックスベイは小さく、分散したコミュニティで、保健センターや電気がなく、徒歩か小型船を除いてアクセスできない。

▲ドローンで届けられた最初のワクチン接種

ユニセフのヘンリエッタ・フォア事務局長は「本日のドローン輸送は小規模なものだが、世界の保健衛生にとって大きな一歩」「支援を届けるのが最も難しい遠隔地の子供への予防接種は今も困難が伴うが、ドローン技術によって、そのラストマイルを乗り越え、変革をもたらすことができる」と話した。

ワクチンは特定の温度で運ばなければならないが、気温が高く1300キロにわたって80以上の、山の多い遠隔地の島々が広がり、道路の数も限られるバヌアツは、ワクチン輸送にとって「特に厳しい環境下」にある。このため、結果として子供の2割が「子供の頃に必要なワクチン接種を逃している」という。

ドローンで届けられた最初のワクチン接種を担当した看護師は「川を渡り、山を越え、雨の中を歩き、岩棚を越えていく時、ワクチンを冷却するための保冷ボックスを携帯するのは至難の業だ。私はよく船を利用するが、悪天候のためしばしば運航中止になる」「ワクチンの旅路は長く厳しいのが常であるため、子供たちのワクチンを接種しに行けるのは月に1回のみ。しかし今、このドローンを使えば、島の最も遠隔地域で暮らすより多くの子供にワクチンを届けられるようになると期待している」などと述べた。

エロマンゴ島へのドローン輸送は、バヌアツの保健省がユニセフの協力でテストケースとして実施。ワクチンは発泡スチロールの箱に氷袋と温度の測定記録装置とともに入れて輸送された。ワクチンの温度が許容範囲から外れた場合には、電子インジケーターが起動するようになっていた。

バヌアツ政府は今後、ワクチンのドローン輸送を国の予防接種プログラムに統合し、保健物資を輸送するといった「さらに広い用途」でもドローン利用を検討する。輸送試験で得られたデータは、ほかの国でも「ドローンが商業利用できるか」を検討するために活用されることになっている。