ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

ヤマトが3PL強化へ新体制、宅配依存から脱却図る

2019年4月12日 (金)

▲ヤマトホールディングスの長尾裕社長

ロジスティクス4月1日に発足した新体制を率いるヤマトホールディングスの長尾裕社長は11日、物流メディアとの懇談会で、今後の事業戦略について「創立100周年の節目を経て、激変する環境の中で未来に向かって経営資源をどう再配置していくか、早期に方向性を打ち出したい」と述べ、宅急便事業に依存した事業フォーメーションの抜本的な見直しに着手する考えを示した。

今後、宅急便だけを売るビジネスモデルではダメだ。宅急便事業の半分を占める大口顧客とのつながりを生かし、サプライチェーンの川上から川下まですべてカバーできるソリューションビジネスに、どう舵を切っていくか。ヤマトHDの長尾裕社長

こう話し、リソースの振り向け先として、企業の物流を一括受託する3PLビジネスに注力していく方針を強調。同社グループで物流受託事業に長く携わってきた小菅泰治氏をヤマトHDで法人向け事業を統括するアカウント担当常務に据え、グループ会社で物流受託を手がけるヤマトロジスティクスの社長を兼任させることで、意思決定スピードの高速化を図るとともに、ヤマトグループを挙げて「法人向け物流受託事業」を”第2の柱”に育て上げる方針を明確にした。

▲ヤマト運輸の栗栖利蔵社長

これまで同社が開いた記者懇談会では、ヤマトHDと中核事業会社であるヤマト運輸の社長が出席するのが恒例となっていたが、今回は長尾氏、ヤマト運輸の栗栖利蔵社長とともにヤマトロジスティクスの小菅氏が出席したことから、法人向け物流受託事業を強化し、宅急便頼みとなっている”一本足打法”からの脱却を印象づける狙いがあったとみられる。

ヤマトロジスティクスは法人向けビジネスを手がけているが、小菅社長にはヤマトホールディングスの常務で法人向け事業の責任者も担ってもらう。宅急便事業の半分は大口の法人顧客が締めているが、宅急便だけを売るビジネスモデルではだめだ。サプライチェーンの川上から川下までをカバーするソリューションビジネスに、どう舵を切るかが重要だ。越境物流を中心としたヤマトグローバルロジスティクスも法人向け事業だが、これを含めて小菅社長が見ることになる。ヤマトグループが保有するリソースを組み合わせながら、いい価値提供ができそうなセグメントを見つけ、早期に提供をはじめたい。この分野で当社グループは後発だが、今後チャレンジしていくビジネスの軸になるだろう。ヤマトHDの長尾裕社長
ヤマトロジスティクスは、ソリューション事業、3PL事業を担当している。ヤマトグループの総力を挙げて「新3PL」を構築することができれば、宅急便事業に続くもう一つの柱になる。顧客企業の中に深く入り込み、課題を解決していくことが重要だ。そのためにアカウントマネジメントという任務を通じ、ヤマトグループ全体を包括的に見る立場から、その時々の状況を把握して最適なソリューションを提供していく。ヤマトグループ各社には、営業社員が合わせて数百人在籍しているが、彼らを一元的に管理し、連携できる形を作る。私も営業社員と一緒になって顧客の課題に向き合っていきたい。同業他社も諸々の取り組みを進めているが、後発だという認識をしっかり持って務めたい。ヤマトロジスティクスの小菅泰治社長

▲ヤマトロジスティクスの小菅泰治社長