ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

大半のドライバー睡眠不足「相談しない」、TDBC調べ

2019年7月31日 (水)

調査・データ運輸デジタルビジネス協議会(TDBC、東京都港区)は7月31日、タクシー・トラック・バス事業者23社に対して実施した睡眠管理に関するアンケートの結果、「睡眠不足になりやすい環境にあるにもかかわらず、その相談や報告が少ない」ことがわかったと発表した。

同協議会は「乗務員の健康増進」に関するワーキンググループを設置し、「安全運転や人材定着につなげる」ことを目指した検討に取り組んでおり、2018年度は睡眠管理に関するアンケートを実施した。

昨年6月1日に施行された旅客自動車運送事業運輸規則と貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部改正では「睡眠不足の乗務員を乗務させてはならない」として、点呼簿の記録項目に「睡眠不足の状況」が追加されたが、同年10月に実施されたアンケートの集計結果では、80%の事業者が「完璧に実施できている」「ほぼ実施できている」と回答した。

一方、点呼は1人当たり3-5分以内に実施しなければ業務が滞ると考えるなど、実施に課題を抱える事業者も20%あった。

また、乗務員から睡眠不足の相談や報告の頻度を問う設問に対しては、60.9%が「ほとんどない」と回答。「年に数回」の26.1%と合わせると、87%がほぼ相談を受けていないことがわかった。

ただ、「当社の乗務員は仕事柄、睡眠不足になりやすい」という項目に「非常に該当する」「やや該当する」を選んだ回答が合わせて60.8%に上ったほか、「睡眠不足を感じていても報告しづらいと思う」「本人が気づいていない睡眠不足は多いと思う」「睡眠状況について、運転に支障があるかを乗務員本人が判断するのは難しいと思う」といった項目も軒並み6割を超えた。ことから、同協議会は「乗務員は業務上、睡眠不足になりやすい環境にもかかわらず、その相談や報告が少ない」ことに課題があると分析。

その理由として「代替要員がいない」「乗務員の睡眠状況を本人、運行管理者も正しく判断する方法がない」といったことが考えられるとした。

また、「睡眠不足を厳密に管理した場合、人手が足りなくなる」「乗務員の睡眠不足を解消するための対処法がわからない」など、事業者側も課題を抱えていると指摘した。