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佐川急便ら5者が電力データで再配達削減、今秋実験へ

2020年7月9日 (木)

調査・データ佐川急便、日本データサイエンス研究所(東京都文京区)、東京大学、横須賀市、グリッドデータバンク・ラボ(東京都千代田区)の5者は9日、都内で会見を開き、人工知能(AI)と電力データを用いて不在配送問題を解消する実証実験をことし秋に神奈川県横須賀市で実施すると発表した。

この実証実験では、横須賀市内で実験に協力する家庭から電力データを取得し、AIがこれを解析して在宅確率の高い時間帯を予測。佐川急便は、AIが提示した最適配送ルートに従って実際に配送を行い、AIと電力データの活用が再配達削減に有効かどうかを検証する。

関係者らは、2018年秋に東京大学構内で実施した配送実験で、不在配送を90%削減することに成功しており、佐川急便の実配送データに基づくシミュレーションでも75%~89%の削減効果が見込まれている。

佐川急便では、全宅配件数に占める不在配送の件数が20%にのぼり、総走行距離の25%が再配達によるもの。これは、年間9万人の労働力に相当し、年間2000億円のコストを生んでいるという。

佐川急便の本村正秀社長は、「”置き配”は、不在時に受取人の同意を得て実施しているサービス。今回の取り組みでは、不在配送自体を減らしていく」と話し、不在配送問題にさまざまな角度からアプローチしていく考えを示した。

関係5者は今後、今秋の実験結果を踏まえて機器の開発や基幹システムの改修に着手し、22年から実運用することを目指す。

▲5者調印式の様子