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太陽工業、「氷温」輸送用資材で氷温協会認定

2020年11月17日 (火)

認証・表彰東京と大阪の2本社体制で物流向けテント倉庫などを手がける太陽工業は17日、同社の保冷輸送資材「クールカーゴ」が氷温協会から「氷温機器」の認定を取得した、と発表した。

クールカーゴは、低温流通管理資材として販売している可搬式保冷庫で、氷温状態にあった生鮮品を調温された3度の環境下で緩やかに温度上昇させ、食べごろの状態に仕上げる「テンパリング」を輸送過程で行う機器、として評価され、氷温業界で初めて認定を受けた。

硬質発泡ポリスチレンとアルミ蒸着フィルムを組み合わせた「硬質断熱材のボックス」に、コンパクトで省電力、環境にも優しい「スターリング冷却ユニット」を装着。家庭用電源(100V)のほか、12Vバッテリーから電力を供給することも可能で、幅広い利用形態に対応する。

氷温状態を保つシャーベット状の氷(ジェルアイス)と組み合わせることで、品温が0度以下の状態で輸送することができるほか、氷温庫にそのまま入れて使用し、車体に載せる出庫時にスターリングクーラーを起動させるという使い方など、多彩な活用方法も評価対象となった。

認定を取得した機種は350リッターの大容量タイプ(幅850×奥行き650×高さ1700ミリ)となっており、重量は70キロ。カゴ車と一体化して大量の生鮮品を輸送・保管する。価格は運賃込みで40万5000円(税別)。

同社は「氷温は、0度以下から生鮮品が凍り始める氷結点までのわずかな温度領域(氷温域)を保つことで、鮮度を維持しつつ保存し、熟成された美味しさを引き出す技術。クールカーゴの氷温機器認定を通じて、コールドチェーンの分野に、冷凍でも冷蔵でもない、第三の温度域による氷温管理輸送の概念を誕生させることで、より新鮮な食品が配達できる環境づくりに貢献したい」としている。

救世主となることに期待

古くは東京ドームの天井で一躍有名になった太陽テント、現太陽工業から朗報が届いた。冷凍・冷蔵物流にとって画期的と評価される開発であることは疑いないが、それ以上の期待を抱かせてもくれる。

IATAのニュースリリースにもあるとおり、新型コロナウィルスワクチンのサプライチェーン構築に利用可能なら、その功績は大きい。各国国民へのワクチン供給に際し、要求されている品質保持要件は超低温物流の連鎖だ。既存の設備や仕組みだけでは不足や不備が認められる可能性も多々ありそうな現在、このような開発から実用への迅速な動きは称賛に値する。

「できない」は「やらない」と同じ。まだまだできることはあるはずだ――そんな言葉を反芻したくなるような、希望に満ちたニュースだった。早期のワクチン投与を心待ちにする世界中の人々にとっても朗報となればよいと期待してやまない。(企画編集委員・永田利紀)