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新座市、置き配トラブル受け市民に注意喚起

2020年11月26日 (木)

行政・団体埼玉県新座市は25日、新型コロナウイルスの流行を背景に増加している荷物の受け取り方法の一つ「置き配」でトラブルが発生しているとして、市民に対策を呼びかけた。

置き配は、荷物を手渡しでなく玄関先など指定した場所に置くことで配達を完了する受け取り方法で、不在時や配達員と対面せずに受け取ることができるため、感染リスクを下げられるという理由から利用が広まっている。

事業者側も再配達の削減に向けて置き配を含む受取方法のバリエーションを増やしているが、「直接荷物を受け取らないことに伴うトラブル」が発生しているという。

(イメージ画像)

市は「配達予定日の夕方に配達したとのメールが届いたが、荷物を置いたという写真は添付されておらず、荷物は置かれていなかった」「玄関の呼び出しチャイムを鳴らして玄関ドアにかけておいてほしいと依頼していたが、配達予定時刻になってもデリバリーは届かず、配達完了メールだけが届いた」といった事例を挙げた上で、どのように配達されるかを事前に確認したり、盗難・破損リスクを理解して利用するようアドバイス。

「高額な商品や貴重品など荷物を確実に受け取りたいときは、置き配ではなく通常の配達を利用することが有効」と、荷物の内容によって受け取り方を工夫することを勧めるとともに、日時指定やコンビニエンスストアでの受け取りなどを組み合わせて再配達の削減にも協力するよう呼びかけた。

労働者や請負者の職業倫理

不在時の受け取りのためのロッカーや簡易装置が設置できない(していない)集合住宅や一戸建ての場合、置き配指定の際にはPS(パイプスペース)や玄関扉脇、自転車のかごや門扉裏、傘立ての上などが主たる置き場所となる。

以前から散見されているが、配達完了の通知もしくは購入画面での完了表示があるにもかかわらず、実際には指定場所にも周辺にも配達物がない。または置き配時の画像添付まだのに、帰宅するとその荷物は見当たらない。もしくは受取体面や応対することを避けるために非接触の置き配を指定しているのに、わざわざ玄関チャイムを鳴らして手渡ししようとする配達員に対する困惑。などのいくつかに分類されるクレームやトラブルが増加している。

場合によっては購入者の「受け取っていない」に対して「確かに置いた」と譲らぬ配達者との係争まで発展しかねないのだが、やはり置き配利用頻度が高いなら、それなりの設備を用意するほうが無難だと言わざる得ない。

配達完了時のエビデンス画像でさえ「撮ってから持ち帰ったのではないか」と疑えばきりがないし、画像ナシなら「そもそも配達していないのでは?」と疑心暗鬼に陥ったりもする。

使用者や委託者による労働者管理の範囲が倫理教育や確認にまで及ぶのか否かという議論も目立つが、そもそもが規範や合理性に最もなじまない要素でもある。

性悪説前提での罰則徹底だけでは解決しないことは推して知れるが、その先の正解を知る者はまだいない。今後もEC事業者や個配各社、さらには最終配達請負者の動向や工夫には注目し続けたい。(企画編集委員・永田利紀)