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スタンデージ、貿易書類無料作成の新サービス

2021年3月8日 (月)

ロジスティクスSTANDAGE(スタンデージ、東京都中央区)は8日、日本の中小貿易事業者向けに、必要な各種書類を無料で作成する新たなサービスを開始した。複雑化する輸出業務における書類作成の負担を軽減するもので、ビジネスパートナーの山九の協力のもと、提供する総合貿易サービス「DiGiTRAD」(デジトラッド)の新たな機能として提供する。

同社は昨年3月に山九と資本業務提携し、DiGiTRADと山九の国際小口輸送サービス「SBY」の連携を開始。新たに提供するサービスでは、DiGiTRADによる国際輸送費の見積もりに加えて、貿易に必要なインボイスなど各種書類の大部分を自動化する。まずはコロナ禍の影響を受けている中小企業を中心に無料で提供し、将来的には書類作成数に応じた成果報酬型の課金も検討するという。

ありそうでなかった好サービス

貿易実務者は当然ながら、周辺でその業務を見聞きする者達が一様に感じていることは、「煩雑でアナログの極み」というべき旧態依然とした文書作成とやり取りの流れだ。

今の時代にデジタル化できない最大の理由は、ひとえに国家間の事務処理手法のバラツキに尽きる。世界中の国々が共通して作成できる方法の最大公約数が現状の書式やルールとして認知されているのだが、まさに護送船団の理屈がそのまま適用されている。

こう書けば、わが国が他国にあわせて複雑で手間のかかる作業を強いられていると思い浮かべる読者も少なくないだろう。しかし実態は必ずしもそうではない。

直近の事例をあげれば、日本郵便のEMS(国際スピード郵便)などは長く国際標準化されないまま連帳や単票の紙媒体のまま存えていた。欧米やアジア諸国からはヒンシュク物の状態が長かったことはあまり知られていないが、越境ECなどの実務者なら周知の事実だ。

とにもかくにも、大企業のように専属の事務担当者を置けない中小企業にとって、このようなサポートはありがたいはずだし、似たような現状に悩む他国企業からも注目を集めそうだ。

来るべき貿易事務書類のデジタル化と国際標準規格の普及に向けての布石となれば、なお好ましいことは説明するまでもないだろう。(企画編集委員・永田利紀)