ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

港湾物流手続き電子化、4月1日から14社利用開始

2021年3月12日 (金)

行政・団体国土交通省は12日、港湾物流手続きを電子化する「港湾関連データ連携基盤」の名称を「Cyber Port(サイバーポート)」に決定し、ポータルサイトを開設したと発表した。搬入情報の事前照合などを行う「CONPAS(コンパス)」と合わせ、4月1日から運用を開始する。

「サイバーポート」は、依然として半分以上の手続きが紙や電話、メールなどで行われている港湾物流の業務効率化を目指すもの。書類の作成や送信、データ取得、再入力、問い合わせなどに要する時間が削減できるほか、事業者間で異なる書類様式や項目、接続方法に対応する必要がなくなるため、システム改修費用を節減できる。

利用企業は、システム連携を通じて自社システムからサイバーポートを操作する方法と、サイバーポートの画面から直接操作する方法が選択できるため、これまでのシステム投資を無駄にせず、在宅勤務も可能となる。

将来的に、サイバーポートを通じて「NACCS(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System)」の税関手続きなどを行えるようになれば、港湾物流手続きと税関手続きのワンストップ化が実現するほか、その他のプラットフォームとの連携で、さらなる業務効率化が期待できるという。

(出所:国土交通省)

国土交通省は、港湾物流手続きを電子化する「サイバーポート」の一部機能運用を全国で、搬入情報の事前照合などを行う「コンパス」の本格運用を横浜港南本牧で4月1日から始め、港湾物流業務の効率化とコンテナターミナルのゲート前混雑の解消などを目指す。

4月1日からサイバーポートを利用するのは、石川組、井本商運、エムエスシージャパン、オーシャンネットワークエクスプレスジャパン、オリエントオーバーシーズコンテナライン、クボタ、山九、鈴与海運、双日、内外日東、日産自動車、日本通運、三井倉庫、ユニエックスNCT――の14社。

■サイバーポートのポータルサイト
https://www.cyber-port.net/

港湾以外にも準用すべき

このニュースからは、港湾業務がデジタル化や巷にあふれる機器類の導入に遅れをとっている実態が浮き彫りになりそうだが、実はそれ以上に一般事業会社の物流業務でも「アナログ遺跡」とも呼べそうな旧態依然はとても多い。
メールのやり取りどころか、いまだに「毎日の発注と納期返信はファクシミリで」「いまメールしましたが、内容を確認できたらお電話いただけませんか」という電話が毎度のやりとりのパターンとして引き継がれている、なども珍しくない事例だ。

創業100年を超え従業員数数千人、という一部上場の大企業でも「うちの部署はそれが普通だし、業界全体がアナログのまま」という実務状況は、経営のかけ声と裏腹に、改まる気配がないということもよく耳にする。
商売上のやりとりには相手があるわけだが、それが顧客であればこちらの準備している仕組みや自社の理屈どおりにならないこともあろう。情報発信側にとどまらず、商流や情報経路の関与者全員が同一の仕組みとルールで事務作業を行わなければ、結局は業務の断裂や停滞に見舞われる羽目になる。本来は3分で処理できる事務仕事に、いちいちのやり取りを電話やファクシミリで1時間以上かけているとしても、それが日常化してしまえば改変機会は埋もれてしまう。

システムの整備と同時に、音頭取りの役目を担う幹事役の存在が不可欠だと思える。(企画編集委員:永田利紀)