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国交省、港湾投資効果事例集を作成

2021年3月18日 (木)

調査・データ国土交通省は18日、港湾の投資効果をまとめた事例集「みなとの元気なくして日本の成長なし」を作成したと発表した。全国25港湾の港湾投資効果事例を港湾局ウェブサイトに掲載したもので、全60ページ。

日本では、輸出入貨物の99.6%が港湾を経由しており、港湾を抱える市区町村には6000万人の人口を擁しているほか、製造品出荷額も150兆円に達している。

事例集は冊子版と見開き版の2種類を用意し、いずれも写真を多用して読みやすくなるように工夫が施されている。

たとえば釧路港のページでは、国際物流コンテナターミナル岸壁(水深14メートル)の整備に180億円が投じられた結果、民間投資207億円と新規雇用110人を生み出したことが紹介され、貨物船1隻あたりの平均荷卸量が供用前後で1.7倍に増加したことを示すグラフも掲載している。

■事例集「みなとの元気なくして日本の成長なし」(見開き版)
https://www.mlit.go.jp/kowan/content/jireishuu_mihirakiban.pdf

消費の活性と維持なくしてみなとの元気なし

御上のなすことにいちいちケチをつける気は毛頭ないのだが、国土交通省が本記事のようなリリースをするなら、経済産業省あたりは掲題のようなキャッチコピーを合わせ技にしてもよいのでは――と即座に思い浮かべてしまった。貿易の大部分を担う港湾の振興は国民利益に大きく寄与するものだし、各地の港の賑わいは、単なる経済効果だけにとどまらないはずだ。目に見える盛況さは、心理的な好感につながるに違いないと思う。

鉄道やトラックが共用できる新型のターミナル設置は、物流網の再編に多大な可能性を感じさせてくれる。出て行くのも入ってくるのも港から、という言葉は使い古されて久しいが、それでもいまだに実態はそのままに存在感を薄めてはいない。特に輸入に関しては、国内景気動向――特に個人消費――が最終的な根拠となるのは当然であるし、個の集まりが生み出す流れとその強さには、いかなる恣意も及ばない。

港湾も空港も元気にするには、生活者である個人が元気でいなければならない。そんな当たり前のことを改めて思うのは、コロナ禍による「当たり前のありがたみ」を実感する毎日だからなのかもしれない。(企画編集委員:永田利紀)