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NEC、300社の物流課題やコロナ影響など徹底調査

2021年3月30日 (火)

「コロナ禍によって、43%の企業が『(業績が)悪化している』と回答。今後1年の見通しは、『好転』、『変らない』、『悪化』がほぼ同率」

話題これは、物流に携わっている人を対象に、NECソリューションイノベータが毎年実施している『物流や配送、物流システム(TMS/WMS)に関するリサーチ結果2021』における調査結果のひとつである。

新型コロナウイルスは物流にも大きな影響をもたらした。コロナ禍の今だからこそ知りたい、輸配送管理システム(TMS)や倉庫・在庫管理システム(WMS)などに関する、各社の取り組み状況や課題などに関する最新動向がレポートにまとめられている。

NECソリューションイノベータは、2007年から毎年継続して、物流や配送、物流システムに関する、各企業の取り組み状況を調査してきた。これからTMSやWMSといった物流システムの導入を検討したいと考えている企業はもちろんだが、既に物流システムの導入が済んでいる企業においても、参考とすべき情報が数多く含まれる。

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TMSに関する調査を例に取ろう。

「配送計画の立案は、5割は『ほとんど』または『一部』で自動化対応しているが、4割近くはまだ人手で行われており、配送計画の課題もベテランの専門業務になっている」

TMSの導入率が5割を超えていることに、筆者を含め、驚きを感じる人もいるかも知れない。NECの調査では、(1)荷主企業(2)自社物流を行う荷主企業(3)物流事業者を、各100人ずつ対象としている。また、1000人以上の従業員を抱える企業が、全体の39%を占めており、比較的大規模な企業が占める割合が高いことから、筆者の肌感覚とズレが生じた可能性がある。

卸売業と運輸・倉庫業では、人手による配送計画の立案が、42%と高い。従業員数100人以下では人手による配送計画の立案割合が55%と半数を超えるが、従業員数100人以上では自動化が半数を超える、逆転傾向が見られる。

なるほど。ここまで読み進めると、中小の運送事業者を相手にすることの多い筆者には、合点がいく。これは一例に過ぎないのだが、この手の業界レポートの内容は、読者によって、納得しやすい部分と納得し難い部分がどうしても出てしまう。読者が持つ常識や業界観が、レポートを読む上で邪魔してしまうのだ。本レポートでは、皆が疑問に感じるであろう部分に対し、調査結果できちんと解を示している。読者の「かゆいところに手が届く」、本レポートの構成は、14年間続いた経験が反映されているのであろう。

TMSに関する、しかもほんの一部だけを紹介したが、本レポートにおける、WMS、在庫補充・発注システム、出荷作業に関する、課題や満足度などに関する調査も、それぞれ秀逸であることを付記しておく。

▲レポートの目次

例えば、まだTMSやWMSといった、物流システムの導入に迷っている企業においては、本レポートがきっと検討の入口となることだろう。本来、導入への最終判断は、自社のニーズや方針を定めてから行うものである。だが、その過程において、「他社ではどれくらい導入が進んでいるのか?」といった、業界全体の導入率を判断の助けとすることは、十分ありだと思う。

また、既に導入した企業において、満足を感じるポイント、不満を感じるポイントを知ることは、導入ソリューションの選定において、大きなヒントとなるはずだ。また、運用フェイズにある企業においても、他社が課題と感じているポイントを知ることは、自社の業務改善、運用改善を進めるヒントとなるはずである。

この手の調査レポートは、自社ソリューションの宣伝に力を入れるあまり、読者がレポート内容に不満を感じることもあるのだが、本レポートは、利用者の声を俯瞰的かつ客観的に捉えており、TMS、WMS、在庫補充・発注システム、出荷作業について、皆が知りたいと思うポイントをしっかりと網羅している点を評価したい。

『物流や配送、物流システム(TMS/WMS)に関するリサーチ結果2021』、物流に関わるすべての人に、ぜひ一読して欲しいと思う。(文/坂田良平)

レポートの概要
タイトル:『物流や配送、物流システム(TMS/WMS)に関するリサーチ結果2021』
調査目的:物流や配送、物流システムに関する企業の取り組み状況の把握
調査期間:2021年2月8日~2月10日
調査内容:配車・配送計画業務や、物流システム(TMS/WMS)の機能の重視点や選定時の重視ポイント、投資金額、在庫補充・発注、在庫補充システムの重視点、出荷作業の課題や梱包計算システムへの投資金額、IoTやAI、画像認識技術などを活用した物流改革への期待やコロナ禍、コロナ後の物流対策など
有効回答者:300人
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レポート解説セミナーの概要
日時:2021年4月22日 13時15分~13時45分
会場:オンライン(ウェブセミナー)
参加費:無料
内容:『物流や配送、物流システム(TMS/WMS)に関するリサーチ結果2021』の解説
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