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SGHグローバル、アリババ傘下の菜鳥と提携

2021年6月17日 (木)

M&ASGホールディングスグループのSGHグローバル・ジャパンは17日、中国アリババグループの物流部門を担う菜鳥網絡(ツァイニャオ、杭州市)とのパートナーシップ契約締結を発表した。すでに輸出入に必要なシステム連携を行い、5月26日から業務を開始しているという。

現在は大阪から週6回、航空便で中国までの貨物を輸送しており、6月18日からはSGホールディングスグループの大規模物流センター「Xフロンティア」(東京都江東区)からの出荷も開始する。

SGHグローバル・ジャパンは、菜鳥が手掛ける日本から中国の消費者向けの直送物流を受託し、越境ECなどに取り組む日本企業の中国市場参入を支援する考え。また、菜鳥が掲げる「24時間以内に中国本土のあらゆる場所に、72時間以内に世界中に配送」する目標の達成を支援するとしている。

▲受注から中国の消費者に向けた物流の流れ(出所:SGホールディングス)

越境個配の合理的な仕組み

このニュースについては、アリババの取引先企業からの情報として承知していたが、アカウントのひもづけ実務に時間がかかったのか、発表が遅れた印象だ。アリババにアカウントを持つ荷主の業務においては、「郵便」であるEMS(国際スピード郵便)ではなく、貨物事業者の取り扱う国際個配物が標準となる。

菜鳥による今回の指定事業者改変では、SGHグローバルに加えて、中国の4PXエクスプレスも配送指定事業者として選択できるようになっている。また、アリババに限らず中国や欧米の巨大ECサイトは、必要な情報のみが簡素で階層の浅い画面に展開されており、出店者やサプライヤー・購買者の双方にとって、分かりやすく簡易な手続きで売買が完結できるのが良い。

何よりも特筆すべきは、アリババグループが運営するECモール「Tモール」(天猫国際)の背後を走る物流の秀逸さだ。「越境」というハードルも、梱包完了後の個配物に、デジタルコードの印字された小さなシールを貼り付けるだけでクリアできる。

日本国内で同様の運用をしているのはアマゾン以外に思い浮かばないが、今後はそれに続く事業者が続出することを期待している。入荷予定表・ピッキングリスト・納品書・送り状の紙への依存は、今後長くは続かない。だとしたら、単純で明瞭な機能や書式の選好が進むに違いない。(永田利紀)