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オープンロジ、冷凍寿司のEC物流パートナーに

2021年9月2日 (木)

フードEC物流向けのフルフィルメントサービスを提供するオープンロジ(東京都豊島区)は2日、寿司店「鮨心」(すしこころ)を運営する一心(東京都港区)が1日にインターネット販売を開始した、「シン握り」の冷凍物流パートナーに選定されたと発表した。同社はことしに入り、倉庫事業者との提携により、冷凍・冷蔵商品の物流に対応している。

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シン握りは、一心の寿司職人が握った寿司を瞬間冷凍し、真空フィルムで包装した。6年前から自社で冷凍・真空技術を研究・開発していたが、今般のコロナ禍を機に提供を開始した。価格は11カンで税込1万1800円。

オープンロジは、小ロットから幅広い商品・荷量にまで柔軟に対応しながら、冷凍・冷蔵商品の物流サービスを提供することで、飲食店のEC(電子商取引)事業参入を推進する。

消費スタイルの変化が生み出した物流ビジネスチャンス

新型コロナウイルス感染症の拡大による「巣ごもり消費」は、消費スタイルを一変させた。感染拡大の前からじわじわと進んでいた、飲食サービスにおける「店頭から宅配へ」のシフトは、コロナ禍で一気に加速した。こうした急速な動きのなかで、飲食店のEC事業参入促進にビジネスチャンスを見出したオープンロジの取り組みは、今後の飲食業界の概念を一変させる可能性すら感じさせる。

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こうした文脈で、「シン握り」の冷凍物流パートナーに選ばれたことは、オープンロジにとってはこれまでにない援軍となったはずだ。鮮度が命である寿司店からお墨付きを得られたとなれば、オープンロジが推進している飲食店のEC事業参入ビジネスは、大きく前進するだろう。他の飲食店からの信頼もさらに高まるはずだ。なぜなら、オープンロジのフルフィルメントサービスを活用することで、その店の商品価値が高まると想定されるからだ。

言い換えれば、ECビジネスは物流サービスの完成度で勝敗が分かれるということだ。店頭で商品を提供できる店舗営業と異なり、配達先まで同じ鮮度を維持したままで届ける重要なプロセスが加わるからだ。そこに、新しい物流ビジネスが生まれる。オープンロジが着目したのはまさにそこだ。さらに、ECサービスのこうした特性に気づいた寿司店にも、ビジネスセンスがあると言えるだろう。本来であれば、最もEC化に遠い領域だったはずだからだ。

コロナ禍を一つのきっかけとした消費スタイルの変化は、新しい物流ビジネスの機会を創出した。ただし、それをつかめるかどうかは、その企業の視座と挑戦心だろう。(編集部・清水直樹)