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ヤマト、岡山と徳島の2町とドローン医薬輸送検証

2021年10月22日 (金)

メディカルヤマト運輸(東京都中央区)は22日、ドローンを活用した医薬品輸送を検証する連携協定を、岡山県和気町、徳島県那賀町の2町と結んだと発表した。急速に高齢化社会が進む地方部において、社会課題である地域医療体制の維持や地域間格差の解消、個別化医療へのさらなる進展に物流の観点から持続的に貢献する。

このたびの連携協定の締結により、地域における持続可能な医薬品輸送ネットワークの構築に向けて、実際の運用を想定した物流拠点から病院や調剤薬局までの拠点間輸送をはじめ、処方薬やスペシャリティ医薬なども視野に入れたドローンによる個人宅への配送の実証実験も行い、ドローンを活用した医薬品輸送ネットワークの実現可能性を検証する。

医療分野においては、技術の発展による個別化医療の進展をはじめ、新型コロナウイルス感染症の影響によるオンライン診療や電話による服薬指導などの取り組みが急速に浸透しはじめている。一方で、処方薬の受け取りについては、現状多くのお客さまが自身で調剤薬局などに直接取りに行く機会が多いですが、高齢化の進展により地方の山間部を中心に配送サービスに対する要望が高まると想定される。

ヤマト運輸は、これまで15年以上にわたり、医療機器や医薬品の流通に関わる物流課題に関して、調達から流通加工、温度管理を含むトレース管理や配送など、一貫した物流ソリューションを提供。近年ではパートナー企業と連携し、遠隔処方領域における調剤薬局などへの物流サービスを展開してきた。今回の協定締結も、こうした事業展開の延長上にある取り組みだ。

今回の協定により、ヤマト運輸は医薬品ドローン輸送について、検証の計画を作成するために必要な情報提供▽関係団体、地域住民等への説明や協力の確保▽検証を遂行するために必要な許可の取得支援▽処方後の処方箋薬の供給、オンライン診療・服薬指導▽卸業者による医薬品輸送、について各町とそれぞれ連携して取り組む。

実証実験の実施時期は、和気町でことし11月下旬、那賀町では2021年度内になる見通し。

ヤマト運輸のドローン検証で実用化への「本気度」は変わるか

ヤマト運輸が、ドローン輸送の実用化に向けて本格的に動き出した。医薬品輸送ネットワーク構築に向けた検証のため、岡山県和気町と徳島県那賀町の2町と協定を結んだ。ともに山間地を多く抱え、高齢化が急速に進む町だ。ドローン輸送は、こうした地方の山間部で、緊急を要する医薬品などを対象に実用化が進んでいくのだろうか。そんな時代がすぐそこまで来ている予感がする。

(イメージ)

物流サービスにドローンを活用する動きは、国内でも活発になっている。政府も法改正などで規制を緩和することで、導入を促進する。実用化に向けた準備体制は着実に出来上がりつつある。あとは事業者が実用化に踏み出すかどうかだ。宅配最大手のヤマト運輸がドローン輸送に本腰を入れはじめたことは、業界内でもドローン導入に向けた機運を高める節目になりそうだ。

とはいえ、ドローン実証については、物流業界だけでなく荷主の業界も導入に取り組むなど、多様な動きが見られる。IT企業や各種団体も独自に自治体と連携するなどしてドローンの試験運航を実施しており、相互に連携して実用化を進めていくスキームが現実的なようだ。

今回のヤマト運輸によるドローン検証で、本格的な実用化に向けた本気度が高まってきたところで、具体的な一歩を踏み出すのはどこか。実証実験をゴールとすることなく、現実的な検証を進めてほしいと願う。それが地方の活性化や住民支援につながるのであればなおさらだ。(編集部・清水直樹)