ピックアップテーマ
 
テーマ一覧
 
スペシャルコンテンツ一覧

アイホンとPacPort、宅配効率化へ資本業務提携

2021年12月3日 (金)

(イメージ)

サービス・商品ドアホンメーカーのアイホンは3日、物流業界のラストワンマイル問題を解決するソリューションプロバイダーのPacPort(パックポート、東京都中央区)と資本業務提携を締結したと発表した。12月1日付。両社が相互の技術を連携させることで、主に集合住宅向けの荷物認証宅配システムを提供する。

インターネットショッピングの普及や新型コロナウイルス感染拡大を受けて、宅配荷物の取扱量が急増するとともに宅配ボックスの利用や非対面・非接触での受け取り需要が高まっている。再配達件数の増加や配達員の不足、配送車両のCO2排出量増加が社会問題となっている。

マンションなどの集合住宅においては、居住者の在室・不在にかかわらず、各戸の前の宅配ロッカーや「置き配」で対応するニーズが拡大。エントランスのオートロックが、宅配業者の効率的な配達における課題となっている。

両社は、こうした課題の解決に向けて提携を決断。アイホンのオートロック機能とPacPortのクラウドベース宅配ボックスサービスを連携させることで、居住者がインターホンで対応しなくても宅配員が荷物ごとに振られた番号などを利用してオートロックの解錠操作を行うことにより、各戸に荷物を届けることが可能になる。居住者がより安全な形で、非対面で荷物を受け取れるサービスを実現する。

すでに都内の新築マンションでのシステム採用が決定。両社は今後、利用できる物流事業者などへの拡大を図り、全国規模のシステム普及に向けて共同で事業を展開していく。

ラストワンマイル物流は「DX化」の宝庫だ

「物流」を象徴するイメージとは何だろうか。大量の荷物がコンベア上を流れる物流倉庫や、大型トラックが疾走する幹線輸送の姿を思い浮かべる向きも少なくないだろう。しかし、最も一般的なのは、宅配便を届けるドライバー、いわゆるラストワンマイルではないだろうか。

(イメージ)

このラストワンマイル、実は最もDX(デジタルトランスフォーメーション)化が遅れている領域かもしれない。言い換えれば、先進システムの導入の余地が大きい部分というべきか。とにかく、物流の最終走者であるラストワンマイルの業務最適化・効率化が、物流DX化の推進で効果が発揮される対象なのは間違いない。

ドアホンメーカーとラストワンマイル問題解決ソリューションプロバイダーの提携は、こうした文脈でみると非常に的を射た組み合わせに思えてくる。ラストワンマイル物流のDX化ほど、多様な領域の業界企業に参入の余地がある分野はないだろう。意外性のあるイノベーションの創出に期待したいところだ。(編集部・清水直樹)