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CBクラウドとトランコム提携、持続的な「物流」提供

2022年1月31日 (月)

ロジスティクス貨物ドライバーと荷主企業のマッチングサービスを手がけるスタートアップ企業のCBcloud(CBクラウド、東京都千代田区)は31日、物流大手のトランコム(名古屋市東区)と資本業務提携を締結したと発表した。

両社がこれまで培った技術を相互に活用することで、効率的な輸配送の構築と運行現場の生産性を改善し、荷主と運送会社の双方がメリットを享受できる持続可能な物流インフラを構築していく狙いだ。

(イメージ)

両社は今回の提携を契機として、3つの柱「国内ナンバーワン求貨求車プラットフォームの構築」「付加価値の高い物流ソリューションの提供」「持続可能な物流構築の実現」を策定。具体的な相乗効果の早期創出を目指す。

「国内ナンバーワン求貨求車の構築」は、CBクラウドのラストマイル領域における全国4万台の二輪・軽貨物配車ネットワークと、トランコムグループの中長距離領域における全国1万3000社、20万台の輸送パートナー企業のネットワークをかけ合わせることで、国内最大規模のフルラインアップでの求貨求車サービスを提供できる体制を整える。具体的には、大型トラックから軽貨物・二輪まで幅広い輸送モードで、長距離から近距離まで幅広い範囲で輸配送サービスを提供する。

「付加価値の高い物流ソリューションの提供」は、CBクラウドのラストマイル配送対応力やデジタル技術とトランコムグループの幹線輸送対応力や物流センター運営ノウハウを融合。機動性・柔軟性を生かした高い輸配送力を強みとして、幹線からラストマイルまで一貫した物流ソリューションを提供していく。

最後に「持続可能な物流構築の実現」では、構造的かつ慢性的な労働力不足の業界において、両社のノウハウやデジタル技術を活用し、車両の積載効率や運行現場の生産性を高め、日本全国6万社の運送会社で従事する87万人のドライバーが働きやすい環境を実現し、業界の地位向上を目指していく。

(出所:CBクラウド)

CBクラウドはこれまで、ITを活用し、全国4万人規模の二輪・軽貨物個人事業主ドライバーネットワークを有する「PickGo」(ピックゴー)をはじめ、配送現場の業務支援システム「SmaRyu」(スマリュー)を通じて、テクノロジーにより運送業界における新たな価値の創造や、実務を担うドライバーの社会的地位向上の実現を目指してきた。

トランコムグループは、重要な社会インフラである物流を担う企業として、社会課題の解決と抜本的な革新の実現に向け、全国20万台規模の中長距離を中心とした貨物と空車のマッチング(求貨求車サービス)、物流センター運営などのネットワークやノウハウを活用したプラットフォーム構築を図ってきた。

CBクラウドは「物流業界では、慢性的かつ構造的な労働力不足や担い手の高齢化、環境への配慮などの社会課題に直面している。この課題を根本的に解消するために、両社が相互に経営資源を活用・共創し、物流現場の生産性と付加価値の向上によって、業界の活性化を図れるものと考え、本資本業務提携を行うことを正式に決定した」とコメントしている。

CBクラウドとトランコム、マッチングサービスを契機とする化学反応が「新しい生活様式」の物流を提示する

CBクラウドが、トランコムとの資本業務提携に踏み切った背景には、「求貨求車サービス」で国内トップシェアを揺るぎないものとすることで、マッチングサービスの輸送品質を含めた圧倒的な差別化を図る思惑がある。さらには、こうしたマッチングサービスを端緒とする新規ビジネスを創出することで、物流業界における新たな基軸を完成させる狙いも垣間見える。

運送業界は、ドライバー不足という構造的な課題から、未だ脱却できずにいる。新型コロナウイルス感染症を経験して「新しい生活様式」を迎えるにあたり、国民生活を支えるインフラとして認知された物流サービスへの社会的要請は高まる一方だ。それに対応するためには、倉庫など物流現場の自動化もさることながら、やはり要諦なのは輸送モードを機能させるドライバーに他ならない。

今回のCBクラウドとトランコムが手を組んだのは、こうした背景を受けて生き残りを図る最適のパートナーだったからだろう。相互の強みを高め合うタイプのビジネス協業だ。マッチングサービスで先駆者であるトランコムと、斬新なアイデアで業界に新風を巻き起こしているCBクラウド。ドライバー不足の時代に対応した新しい物流サービスの姿を、どんなふうに提示してくれるのだろうか。第三の協業の有無も含めて、頭脳がどのように昇華していくか、今後の注目テーマになるのは間違いない。(編集部・今川友美、清水直樹)