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大和ハウス、富山県高岡市で物流施設を着工

2022年3月3日 (木)

拠点・施設大和ハウス工業は3日、マルチテナント型物流施設「DPL富山高岡」(富山県高岡市)を3月14日に着工すると発表した。北陸地方で2棟目となるマルチテナント型物流施設として整備。2023年2月末に完成予定だ。

(出所:大和ハウス工業)

EC(電子商取引)サービスの普及や新型コロナウイルス禍を契機とした消費スタイルの多様化が進むなかで、北陸地方でも商品の輸配送や仕分けなどの物流拠点の需要が高まっている。

なかでも富山県は、北陸自動車道や能越自動車道、東海北陸自動車道により北陸地方だけでなく中京圏へ短時間でアクセスできる立地特性から、物流施設の開発が進んでいる。

大和ハウス工業は、こうした動きに着目して当地で物流施設開発を積極的に展開。2021年5月には同県射水市で北陸地方初となるマルチテナント型物流施設「DPL富山射水」が完成。完成後8か月で満床となった。それに続くプロジェクトとして、高岡市で最大3社のテナント企業が入居可能なDPL富山高岡の開発に踏み切った。

大和ハウス工業は、交通アクセスに加えてBCP(事業継続計画)への対応力の高さを前面に出して、北陸地方における物流拠点としての優位性を訴求する。

(出所:大和ハウス工業)

DPL富山高岡の概要
所在地:富山県高岡市ICパーク1
敷地面積:2万9844平方メートル
延床面積:1万6756平方メートル
賃貸面積:1万6577平方メートル
構造:鉄骨造、平屋建て
交通:北陸自動車道「高岡砺波インターチェンジ」から1.2キロ
完成・稼働:2023年2月28日(予定)

北陸地方における物流施設開発、豪雪による物流遮断リスクを緩和する側面にも注視すべし

大和ハウス工業が北陸地方で物流施設開発に注力している。首都圏や関西圏を中心とした大都市圏での物流施設プロジェクトが全盛のなかで、北陸地方での物流施設開発が加速する動きは、強く歓迎すべきと考える。なぜなら、国内有数の豪雪地帯における物流機能の強化につながるからだ。

北陸地方の道路網は、北陸自動車道が貫通するほか、東海北陸自動車道や能越自動車道も整備され、一昔前からは隔世の感がある。鉄道についても、JR北陸線をはじめとする日本海縦貫線で高速化が一定程度進んでおり、JR貨物の南福井駅(福井市)が2021年10月にE&S方式による作業へ移行するなど、貨物輸送の機能強化も進んでいる。とはいえ、常に毎年のリスクとしてつきまとうのが、豪雪による交通インフラの遮断だ。

北陸地方で物流拠点の整備が進むことで、こうした輸送上のリスクを緩和できないか。今回の大和ハウス工業の取り組みに、こうした側面を感じずにはいられない。「物流は立地産業だ」とされる時代は過去のものになった、という話がしばしば聞かれるようになった。交通網拡充の成果であるとも言えるのだが、一方で災害に強い物流システムを構築する観点では、やはり「立地産業」であるのは変わらない。北陸地方における物流施設開発プロジェクトには、他地域と異なる特別な意味があるように思う。(編集部・清水直樹)