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常石造船、船舶バイオマス燃料活用研究に参画

2022年4月25日 (月)

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環境・CSR常石造船(広島県福山市)は25日、科学技術振興機構(JST)が推進する「共創の場形成支援プログラム」に参加し、船舶におけるバイオマス燃料の活用に向けた研究を行うと発表した。

共創の場形成支援プログラムは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に基づくビジョンの実現に向け、産学公連携による研究開発を推進する。

常石造船が参加するのは、「食品生産と生態系保全を強化するGX技術の実証・社会実装」。地域のネット・ゼロカーボンとその先にある将来ビジョンの達成のために、産学公の技術・知識・人材が好循環するプラットフォームを開発・実装する東京大学未来ビジョン研究センターの「ビヨンド・“ゼロカーボン”を目指す“Co-JUNKAN”プラットフォーム研究拠点」が取り組む研究開発課題だ。

常石造船はプログラムへの参加により、農林業や食品産業が排出した副産物や間伐材などを高付加価値製品に変換することを目指す取り組みのなかで、研究機関や自治体、他の企業と連携。バイオマス由来の物質を船舶燃料として利用するにあたっての技術面や運用面での課題などの研究を行い、プロジェクトの実現に貢献する。

常石造船の研究プログラム参画、社会課題への企業の関与の「あり方」示す好機に

大学や国立研究開発法人と連携して持続可能な社会の創出に取り組む動きが、物流関連企業にも広がりを見せてきている。

創業100年を超える老舗造船企業である常石造船は、造船・海運業を中心に事業展開する常石グループの中核会社として、環境対応への注力こそが将来のグループの持続的な発展につながるとの信念から、今回のプログラムへの参画を決めた。

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背景には、こうした環境対応の取り組みを積極的に展開することにより、造船や海運業といった海上物流ビジネス関連産業の存在価値を示すことで、生き残りを図る思惑もある。政府は2050年までのカーボンニュートラル実現を目標に掲げている。その実現には、こうした海上物流関連ビジネスが乗り越えなければならない課題が山積しているからだ。

裏を返せば、こうした社会課題の解決は企業だけで図れるものではなく、研究機関や行政を含めて対応策を見出していく必要がある。企業は実業で得た知見や独自技術を共有することで、こうしたプログラムの進捗に貢献していくのが現実的な立ち位置だろう。

常石造船のプログラム参画は、こうした社会課題における企業の関与のあり方を示す好機になると考えたい。(編集部・清水直樹)