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東亜建設工業、港湾構造物への海藻着生技術を検証

2022年6月14日 (火)

環境・CSR東亜建設工業は13日、ブルーカーボン生態系の拡大に向けた直立の護岸など港湾構造物への海藻着生に関する技術検討について、実海域での実験を実施していると発表した。港湾における脱炭素化の取り組みの一環として、今後の行方が注目される。

国土交通省港湾局では、脱炭素社会の実現に向け、物流や人流の拠点となる港湾においてカーボンニュートラルポートの形成に関する検討を進めている。港湾・沿岸域におけるブルーカーボン生態系を拡大させる取り組みを推進。東亜建設工業は、ブルーカーボンに関する技術の一つとして、直立港湾構造物に海藻を繁茂させ、二酸化炭素吸収機能を持たせる技術を検討している。

そこで、関東地方整備局の実海域実験場提供システムを活用し、横浜市の横浜港南本牧ふ頭の直立港湾構造物に海藻の着生や生育を促す着生基盤を設置してその効果を検証している。

実験では、東亜建設工業が独自に考案した海藻の着生や生育を促す角部を有する突起形状の着生基盤(実験基盤)と、比較のために直立構造を模した平板形状の着生基盤(対照基盤)を活用。2021年2月に横浜港南本牧ふ頭の直立港湾構造物にこれらの着生基盤を設置。設置からほぼ1年後に海藻の着生状況を確認した。

▲実験に使用した着生基盤(出所:日本郵船)

実験基盤においては、突起形状の角部を起点として海藻であるアオサ属など緑藻類の着生が認められた。一方で、対照基盤においては、緑藻類の着生がほとんど認められず、実験基盤での海藻着生の有効性が確認された。

このことから、直立構造物に対して角部を有する着生基盤の設置による形状の変化を与えることによって、海藻の着生を促し、二酸化炭素吸収源となるブルーカーボン生態系の形成につながることがわかった。

海藻が生育することによって生物の餌や住処の提供につながり、当社の考案した形状の基盤は海藻による二酸化炭素の吸収機能だけでなく、生物多様性を維持する生態系の構築や栄養塩吸収による水質浄化などにも役立つことが期待できる。

東亜建設工業は今後、海藻の生育状況と着生基盤への生物の着生状況を引き続きモニタリングを進める。多様な海藻がより効果的・効率的に着生・生育しやすい形状や方策を検討するとともに、カーボンニュートラルポートの形成に資する技術として全国の港湾への展開も検討していく。

▲設置約1年後の着生基盤の海藻付着状況